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【わが道わが友】テルモ会長・和地孝氏(5)

2008.12.20 03:43
このニュースのトピックス財界

 ■「医療と教育は国家の品格」信念に

 平成15年4月に、医療機器業界20団体を取りまとめる日本医療機器産業連合会の会長に就任した。就任当初は、医療機器は単なる道具とみなされていた。

 しかし、カテーテルや内視鏡による治療や高度な診断技術が進み、社会的に認知されてきたことから、今や医療機器産業の振興は国家戦略として位置づけられ、日本の産業の牽引(けんいん)役になると期待されている。品質・安全性へのこだわりやモノ作りへの熱意といった日本人の特性に合った業種でもあると思う。

 しかし、米国では、リスクはあっても新しいモノにチャレンジすることに価値を認めるというコンセンサスがあるが、日本は農耕民族のせいか、人に迷惑をかけないことに価値を置く傾向にある。そのため、特に埋め込み型など治療用の医療機器についてはリスクを恐れるあまり、要素技術を持つ企業の協力がなかなか得られないのが現状だ。

 この風土を変革し、画期的な医療機器の世界に向けた発信を促すことが、今後の私の役目だと考えている。「医療と教育は国家の品格」を信念に、高い志を掲げて取り組んでいきたい。

 振り返ってみると、私の人生に大きな影響を及ぼしたことが3つある。1つは公立学校での徹底的な雑草教育を通じて、いろいろな家庭環境で育った人たちと交わったこと。2つ目は仕事内容が国内と海外、下町と都心、金融とモノ作りなど、対照的な仕事を経験させてもらったこと。3つ目は異業種の方たちとの長くて温かいお付き合いだ。

 70歳を過ぎた今、その中核となるのが昭和10年生まれの経営者でつくる「初亥(はつい)会」だ。一流の経営者ばかり約50人と多士済々で、とても楽しく、勉強になる。

 指揮者の大友直人さんは、私が富士銀行(現みずほ銀行)で広報を担当していた時に、CM出演していただいて以来の長い長いお付き合いだ。彼の紹介で、作曲家の三枝成彰(しげあき)さんとも知己を得て、テルモの周年行事の演出をお願いしている。画家の田村能里子さん、佐藤泰生さんは「人にやさしい医療」を実現するために神奈川県に造った当社の医療トレーニング施設「メディカルプラネックス」に壁画を描いていただき、親しくさせていただいている。

 また、サッカー日本代表監督の岡田武史さんは、理髪店仲間だ。同じ住宅地に住み、同じ理髪店に通っている。彼は、経営について論じた私の著書に対する批評も的確で、経営者になっても成功したと思う。

 そのほか、ハーバード大時代以来、お世話になっている田宮謙次さん(元ソニー専務)をはじめ、ここでは書き切れないほどの非常に多くの方たちとのお付き合いのおかげで、今日まで「わが道」を歩くことができたと心から感謝している。(原誠)

 ※次回23日からは、オリックス会長の宮内義彦氏です。

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