ニュース: 経済・IT RSS feed
【主張】景気悪化 負の連鎖回避に連携せよ
本格的な年末商戦を前に個人消費の不振が目立ってきた。自動車の11月の新車販売が前年比27%も減少し、大手百貨店の売上高も減少傾向が続いている。
米国の金融危機に端を発した世界的な個人消費の冷え込みで、日本経済も景気後退色が一段と強まったようだ。
政府と日銀は経済の現状を十分把握した上で、景気の下支えに全力を挙げねばなるまい。
景気の悪化は、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)以降、顕著になった。金融機関は株価の急落で保有株に含み損が発生し、自己資本が目減りしたため、融資に慎重になったからだ。
今後最も懸念されるのは、金融機関の財務悪化と実体経済との負の連鎖である。自己資本減少で金融機関が貸し渋りに拍車をかけ、実体経済が悪化する。その結果、企業の倒産が相次ぐ。融資を回収できなくなった金融機関はさらに貸し渋りを強める構図である。
残念ながら、その兆候はすでに表れているようだ。麻生太郎首相が「企業の資金繰りが12月や1月に窮することはない」と強調したが、中小企業からの不安の声は後を絶たない。
帝国データバンクの調査によれば、中小企業の3割が「資金繰りが厳しい」とし、その半数以上が年末にかけて一段と悪化すると回答している。
中小企業への資金支援については、10月の第1次補正予算で信用保証枠拡大策が実施されている。だが、効果的に活用されているのだろうか。
貸し渋りに対しては、金融庁が貸し出しを監視し、金融機関の融資姿勢を検査対象に加えて厳しくチェックし始めた。日銀も、これまでより信用度の低い社債なども資金供給の担保として受け入れ、金融機関の貸し出し余力を高めて、企業の資金繰りを支援する対策を決めた。
しかし、こうした対策をとっているにもかかわらず、政府の姿勢には整合性がない。今年度第2次補正予算案の今国会提出の見送りで、中小企業向けの新たな資金支援が年末年始に間に合わなくなった。銀行への公的資金注入再開を盛り込んだ金融機能強化法改正案もまだ成立していない。
日本の実体経済はまだ欧米ほど悪くない。政府や日銀は、負の連鎖を回避するために、連携をさらに強めねばならない。