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【主張】内定取り消し 安易な雇用調整は逆効果
景気悪化による企業のリストラで、来春卒業予定学生の採用内定取り消しが相次いでいる。懸命な就職活動の末に内定した企業から、突然、取り消しの通知が来た学生らの戸惑い、怒りは相当なものだろう。
雇用環境がいかに厳しいからといって、企業の都合で安易に学生の夢を奪うことは許されまい。
厚生労働省の緊急調査によると、内定取り消しは全国で331人に上る。内定取り消しを行った企業は計87社で、内訳は大学生が302人、高校生が29人だった。内定取り消しの理由は、倒産などの経営破綻(はたん)が116人、経営悪化が212人などである。
問題となるのは、経営悪化が内定取り消しの理由にされている点である。最高裁の判例によれば採用内定は、たとえ文書を取り交わさなくても労働契約が成立したと見なされ、契約解除には合理的な理由が必要とされる。
倒産なら取り消しもやむを得ないが、経営悪化は合理的な理由に該当するだろうか。舛添要一厚生労働相も労働基準法に違反する可能性が高いとの判断だ。
米国発金融危機の影響で景気が急減速し、企業の収益が減っている。それに伴って、企業はパートや派遣労働者を中心に従業員のリストラを強めているため、雇用情勢が急激に悪化している。
同じ厚労省の緊急調査だと、今年10月から来年3月までの期間に失業したり、今後失業すると見込まれる派遣などの非正規労働者は全国で3万人を上回る。
景気の悪化は、家計の足しにパート勤めをしようとする新たな主婦らの行動を促進する。しかし、求人が少ないため、求職者1人に対する求人数を示す10月の有効求人倍率は9カ月連続の悪化となった。一方、10月の完全失業率は前月比0・3ポイント改善して3・7%になった。求職をあきらめた人が増加した結果ともいえる。
それぞれの企業の雇用カットが収益改善の合理的な選択だとしても、社会全体で見れば購買力の低下を招き、内需を減らすという悪循環に陥りかねない。
忘れてならないのは労働者は景気回復のカギを握る消費者でもあるという視点だ。政府は緊急雇用対策本部を設置し、失業者らの早期再就職支援を始めた。企業も安易な雇用調整は結局、自らの首を絞めると思いを致すべきだ。そうなっては元も子もなかろう。