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「パナソニック」始動 松下から社名変更
松下電器産業から社名変更したパナソニックが1日、始動した。大正7年に故松下幸之助氏が創業して以来、90年間続いた伝統ある「松下」の歴史に幕を下ろし、新たな一歩を踏み出した。
大阪府門真市の本社正門前では、新しい「パナソニック株式会社」の文字に出迎えられるように「Panasonic」のグループ章を襟元につけた社員が出勤。幸之助氏の制定した綱領・信条・7精神を職場で唱和する伝統の「朝会」を開いた。
パナソニックとしての初日だけに、この日は本社勤務の約850人を集めた拡大版の「総合朝会」。大坪文雄社長が「松下とナショナルが培った価値を理解してすべてをパナソニックに結集しよう」と呼びかけ、新しいグループソング「この夢が未来」を発表した。
全国の地域販売店は「ナショナルショップ」から「パナソニックショップ」として本格始動。ホームページも、パナソニックブランドの持つ先進的なイメージを強調する内容に一新された。
この日は東京・六本木ヒルズに「Hello! Panasonic」と書かれた巨大広告が登場。人気グループ「ドリームズ・カム・トゥルー」の中村正人さんらが特別ライブを行い、お祭りムードを演出した。
海外戦略を加速
松下電器産業から社名変更したパナソニックは1日、新たなスタートを切った。国際競争での勝ち残りを目指すためとはいえ、「米国発」の金融危機による世界経済の減速懸念が強まる時期に重なるなど、道のりの険しさをうかがわせる船出となった。
「松下やナショナルが持つ財産の大きさを受け止めたうえでパナソニックに引き継ぎ、さらに明るく輝くブランドに育てたい」
大坪文雄社長は社員の9月の給与明細にこんなメッセージを添えた。「松下」「ナショナル」の歴史や価値を理解しつつ、世界中の社員に尊敬や感謝の気持ちを持ってもらう意味を込めた、と関係者は話す
その大坪社長はかつて、「ブランド変更」に異論を唱えたことがある。
シンガポールでAV(音響・映像)商品の製造拠点の責任者だった平成2年、中近東向けオーディオ商品をナショナルからパナソニックへのブランド変更が決まったさい、ナショナルのマークとパナソニックを併記する妥協案を打ち出したのは大坪社長だった。
売り上げが落ちることはなかったが、次の商品からパナソニックで販売したところ、従来以上の販売実績をあげ、良い商品を出せば受け入れられることを痛感したという。
今回の社名変更を機に、パナソニックは海外戦略を加速させ、世界の電機業界でトップの座を狙う。平成13年度に4000億円以上の最終赤字から「V字回復」を成し遂げた以降の「社内のゆるみの兆候」を一気に払拭(ふっしょく)し、21年度の連結売上高10兆円を目指す。
「成否はパナソニックの開発した商品が消費者の支持を得ること」
シンガポールでの“原体験”を通じた大坪社長の決断の行方は、世界で30万人超の全社員の総力を結集できるかどうかにかかっている。
(松岡達郎)



