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【洞爺湖サミット】食糧高騰問題は視界不良 自身の改革には乗り出さず
食糧高騰問題について福田康夫首相は9日、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の議長総括で「あらゆる対策をとるとのコミットメントを新たにした」と支援に万全を期す姿勢を強調した。しかし、途上国側が強く求めているのは、投機規制など先進国側が二の足を踏んでいる対策であり、主要8カ国(G8)主導の支援策が緊急の危機を脱するメッセージとして機能するのは困難な状況だ。
G8にブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの5カ国を加えた9日午前の拡大会合で、新興国首脳は食糧問題の対応の重要性を訴えた。この中で新興国側がとくに強調したのが「投機」「原油価格上昇」「食料を原料に使うバイオ燃料」の3つの高騰要因で、皮肉なことに「あらゆる対策」を約束する先進国が対応に二の足を踏むものばかりだった。
G8は8日に発表した食糧問題に関する特別声明で当面の緊急支援に加え、中長期対策として輸出規制撤廃や生産倍増などを次々と打ち出していた。
もちろん、アフリカ側にも「種子や肥料、物流整備などの支援はありがたい」とG8の対応を評価する声はある。だが、詳細に支援策の中身を検討すると、輸出規制を行っている国は途上国が多いことでも分かるように、危機の原因を途上国側に帰し、対応を促すものが多い。
一方、現在の異常な価格高騰の最大要因とされる投機資金の規制には、特別声明でも踏み込んでいない。
投機資金は食物相場の高騰の直接原因とされるだけでなく、「投機資金で異常価格となった原油」(政府筋)のために肥料価格や輸送コストが上昇し、食糧価格に跳ね返る間接的高騰要因にもなっている。
G8は6月のG8財務相会合で、原油や食糧など一次産品の高騰に関し実需・金融両面からの分析を国際通貨基金(IMF)に要請したが、緊急の事態に分析で応じているようでは、価格抑制へのインパクトは弱い。
G8は首脳宣言で「世界のインフレ圧力を高める原油・食糧の価格上昇に強い懸念」を表明はした。しかし、その原因が先進国の金融市場で動く投機資金であることに強い表現で言及することはなく、需要抑制に向けた自国内の対応にも着手していない。
懸念を表明しながらG8自身の改革には及び腰なことが途上国側の不満を招いている。
たとえば、サミットの拡大会合に招かれたインドネシア政府関係者は「食糧は先進国が輸入し途上国が輸出する貿易構造になっている」と述べ、資金力のある先進国側の多消費や自給率不足を食糧価格高騰の原因として強調した。
途上国支援を実施する世界食糧計画(WFP)の2008年当初予算は31億ドル。食糧価格の高騰などで現在の必要額は50億ドルに跳ね上がった。小麦仕入れ価格は昨年に比べ2倍近く、同じ資金では飢餓に苦しむ人たちに去年の半分しか食料を供給できない。価格高騰で食糧難民も生まれている。負の連鎖は深刻だ。
G8議長の福田首相は9日の記者会見で、支援で原油と食糧価格が沈静化するのかとの質問に対し、「そうなるかどうか、そうなってほしいと思う」と淡々と答えた。
(坂本一之)