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【わが道わが友】りそなホールディングス会長・細谷英二氏(4)
■存在感ある金融グループへ脱皮
りそなホールディングスの会長は、清水の舞台から飛び降りるつもりで引き受けた。鉄道業から畑違いの金融業への転身で、不安感があったのは事実。内定後、友人の日銀OBからは「今からでも遅くない。仮病で入院してでもやめた方がいい。誰が経営しても成功しない」と忠告もされた。
実際、就任から半年間は辛く悩ましい決断が続いた。だが、今では「挑戦してよかった」と感じている。これまで知らなかった世界や企業経営の実態を学ばせてもらった。
心強かったのが経済同友会などの友人の応援だ。内定から就任までの間に「初年度に1兆3000億円から1兆5000億円の赤字を計上しないと立ち直れない」などと、公表資料から分析したりそなの課題を教えてくれ、非常に助かった。
平成15年6月に会長に就任して、まず全社員に「普通の会社を目指そう」「サービス業の自覚を持とう」と呼び掛けた。銀行はかつて恵まれた時代が続いていたので、どうしても供給サイドに立った発想が根強い。だが銀行もやはりサービス業で、お客さま中心にものを考えなければ未来はない。「銀行の常識は世間の非常識」と訴え、ともかく普通の会社にないことはすべてやめようと、例えば頭取という肩書は社長に変更。営業時間の拡大や待ち時間ゼロ運動などサービス改善に取り組んだ。
さらに不良債権の処理については「厳格に、ウソをつくな、先送りするな」と繰り返した。バブル時代に野放図な融資を続け、バブル崩壊後も問題を先送りしたのが経営悪化の原因。そこで関連会社を整理し、思い切って不良債権の処理を進め、高コスト体質にメスを入れた。
最大の課題だったのが社員の「心の改革」だ。護送船団方式の金融行政に守られてきたため、社員には危機感・当事者意識が薄かった。同時に、現場にはサッカーの負け試合のような打ちひしがれた雰囲気も広がっていた。このため、十数人単位で社員と直接対話する機会を重ねたり、営業店を突然訪れたりすることで、私の肉声と志を伝えるとともに、社員の悩みや考えを聞いてきた。女性の登用も積極的に進めており、現場が「元気になった」との評価も勝ち得るようになった。
一連の改革で社外取締役が果たした役割は大きい。花王元副社長の渡辺正太郎さんやトヨタ自動車元常務の井上輝一さんには、モノづくりメーカーの現場主義をたたき込んでもらった。社員が視野を広げるきっかけとなった。
この5年間でリテール(個人向け金融)部門は一定の実力がついてきた。だが、残念ながら法人部門は「りそならしさ」がまだ作り出せていない。ここでひと皮むけると、りそなは存在感のあるグループに脱皮できる。今後1〜2年が正念場だと心を引き締めている。

