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【風を読む】論説副委員長 五十嵐徹
このニュースのトピックス:メンタルヘルス
「旅行業の最大のライバルは“家”ですよ」。業界のある関係者は真顔でそう語る。
若い世代を中心に、テレビゲームに象徴される「引きこもり型」レジャーに関心が向き、外出を厭(いと)う傾向が広がりつつあるからだという。もちろん理由はそれにとどまるまいが、旅行業界としては気がもめるところに違いない。
たしかに、日本人の旅行熱はこのところ盛り上がりを欠いている。海外旅行者数はこの数年、年間1700万人程度で頭打ち状態だし、国内旅行に至っては、泊まりがけ旅行が減少傾向にある。
国土交通省によれば、宿泊をはじめ、運輸、飲食、物販などを加えた観光・旅行事業全体の経済波及効果は、18年度の推計で約53兆円。GDP(国民総生産)の5.5%にあたるというから、ばかにならない。
救いは外国からの旅行客が急増していることだ。昨年は835万人と過去最高を更新し、前年比では実に100万人以上増えた。なかでも、中国、韓国などアジア地域からの伸びが目を引く。
小泉政権時代の平成15年に始まった国を挙げての誘致キャンペーンが奏功した結果ともいえそうで、22年には1000万人達成という大目標も、1年は楽々前倒しでクリアしそうな勢いである。
外国人旅行者の増加は、国際社会に日本理解を広げる上でも重要で、そのこと自体は大いに歓迎したい。だがその一方、肝心の当事者である日本人自身が引きこもり意識を強めているのだとすれば、何をか言わんやだ。