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【わが道わが友】新日本製鉄名誉会長 今井敬(いまい・たかし)氏(3)

2008.6.19 02:30
このニュースのトピックス郵便・運輸

 ■財界再編と道路公団民営化と

 トヨタ自動車の豊田章一郎氏から「次を頼む。すぐに発表するから」と経団連会長就任の打診を受けたのが、平成10年1月。もう1年社長をやるつもりだったが、両方やるのは無理。財界活動に集中できるよう、4月に新日鉄は会長に退いた。6月の株主総会での交代が慣例だったが、新年度に合わせた。結局、社長在任期間は4年9カ月余りとなった。

 経団連会長として、金融安定と経済再生に心血を注ぐ一方、12年正月の財界4団体合同記者会見で、経団連と日本経営者団体連盟(日経連)の統合構想を打ち上げた。国会議員が定数削減され、省庁再編や銀行の合併も進む中、伝統があるからといって財界だけが旧習にとらわれてはいけない。両者で分業していた税と社会保障問題を一体的に取り上げる必要もあった。この合併案は、日経連会長だったトヨタの奥田碩(ひろし)氏の賛同を得て実現した。

 経団連会長を退いてひと月ほどたった14年6月の月曜、小泉純一郎首相から「道路公団民営化委員会の委員長を引き受けてほしい」と電話を受けた。構造改革路線には賛成していたので引き受けることにしたが、他の委員については「私が選ぶ」と何も教えてくれない。そのまま、金曜日にサプライズ人事が発表された。

 小泉氏は「最終的という言葉を付けるから、道路の民営化・上場を言わしてくれ」という。だが、閣議決定に反しているし、大昔から道路は国がやることになっている。私は応じなかった。しかし上場をめぐって委員の意見は対立した。委員会に多数決規定があるのを知ったのは後から。5対2で事実上の委員長解任となった。

 結局その後、道路そのものは民営化されず、債務償還期間の短縮や建設費を圧縮し、金が足りないところは国が新直轄で高速道路を造ることになった。道路は政治がからみ難しい問題だが、地方へ権限委譲し、必要な道路を造っていくしか方法はないのだろう。

 私の規制緩和への取り組みは、1980年代後半の円高がきっかけだ。ドル換算の実質賃金が倍増したにもかかわらず、一律的な賃上げを要求する業種をみると、規制で守られていたり、地域独占が続いていた。銀行、電力、建設、運輸。そういう業種が国内の4割以上を占めていた。

 その後、自由化はかなり進んだ。「一行たりともつぶさない」と言っていた銀行の変わりようはどうだろう。電力事業も開放され、郵政省さえ民営化した。競争は、もうかなりいいところまできたのではないか。まだ開放すべき部分も残っているかもしれないが、社会福祉や公共分野でこれ以上やりすぎると、弊害が起きる可能性もある。非効率では困るが、営利を目的にやられても困る。何でもかんでも規制緩和という時代ではなくなっているのではないか。

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