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【直球緩球】富士フイルムホールディングス社長 古森重隆氏
−−写真フィルム主体だった事業構造を転換し、平成20年3月期に過去最高益を更新した
「デジタルカメラが普及し、利益の6割を占める写真フィルム事業が縮小していったのは、一大事だった。例えるならトヨタ自動車の車が売れなくなるようなものだ。何で利益を出すかが命題となり、医療、印刷機、複写機、光学部材など多角化を急いだ。成長分野の選択は的確にできたと思っている」
−−とくに医療事業に力を入れている
「市場規模が大きいことが魅力だ。最初はX線フィルムで医療事業に参入し、今ではフィルムを使わないデジタル画像診断装置や内視鏡など『診断』分野を中心に売上高で約3000億円に達する。今後は『予防』や『治療』の分野にも事業領域を本格的に広げていく。フィルム事業で培った化学技術は薬品に応用できるものが多い。例えば、肌の成分であるコラーゲンはフィルムの主原料。老化を防ぐ抗酸化技術は写真の色あせを防ぐ技術にも使われている。こうした蓄積、ノウハウを有効活用する」
−−富山化学の買収で『治療』の中核である医薬品事業の参入を果たした
「富山化学は新薬候補を多く持ち、高い確率で最終治験まで持っていける技術力がある。ただ、新薬の開発費は膨大なため、投資が続かず新薬候補を他社に売却する例も多かった。当社の資金力を利用すれば投資も可能になる。また、医薬品市場は世界で70兆円あり、今後も新興国を中心に拡大が見込まれる。フィルム事業で培った海外販路やブランド力も利用でき、大きな相乗効果が見込める。10年後、医療事業で1兆円の売上高を目指しており、うち医薬品は約3000億円を見込んでいる」
−−成長事業以外での取り組みは
「写真フィルムの生産量はもう少し縮小しなければならない。ただ、利益体質になったことで写真文化を支えられる状況になった。フィルム生産は今後も継続していく。写真店を残すためにも、新しいサービス、サポートを提案し続ける」
−−M&A(企業の買収・合併)への考えは
「今後も足りない部分を補うためのM&Aは進めていくつもりだ。引き続き医療分野が中心となるが、薄型テレビの市場拡大を考えると液晶材料関連も候補となるだろう」
(西村利也)