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【ネットとITを語る】「携帯SIMロック解除、実現したい」谷脇康彦・総務省事業政策課長(下)

2008.5.5 16:21
このニュースのトピックス情報通信業界
谷脇康彦氏谷脇康彦氏

 【質問3】

 携帯電話の端末は、インターネット接続やカメラ、ワンセグ受信などの機能が入った高価なモデルが中心です。シンプルで安価な携帯など、もっと多様な機種を買いやすくならないでしょうか? 

 【回答】

 現在販売されている携帯端末は高機能化が進んでいますが、利用者のニーズに応じて、「高価だが高機能の端末」、「機能は限定されているが安い端末」といった多様化も求められています。

 パソコンでインターネットを利用する場合を考えてみると、パソコンはどのメーカーのものでもよく、ブロードバンドサービスやインターネット接続サービスを別途契約しているものです。

 携帯電話の場合はこれと違い、端末は携帯会社がメーカーから調達して、主に携帯会社のブランドや販売ルートで販売されています。端末・通信サービス・インターネット接続サービスはセットになっていて、切り離せません。その背景には、SIMロックと呼ばれる仕組みがあります。

 携帯端末にはSIMカードと呼ばれるICカードが内蔵されていますが、日本ではSIMカードを抜いて別の携帯会社のSIMカードを入れても、端末が稼働しない仕組みになっています。これがSIMロックで、一定期間同じ端末を使ってもらい、その間に販売奨励金を回収するという考え方と密接に関連しています。

 一方、欧州各国では既に、SIMカードを差し替えても端末を利用できるSIMロック解除が実現しています。これが日本でも実現すると、端末の開発から販売まで一貫してメーカーが主導できるようになり、他の家電製品のように、携帯端末開発の自由度向上が期待されます。しかし現在のところ、携帯各社の通信方式の違いや、アプリケーションの仕様の違いなどもあり、SIMロックを解除すれば端末が多様化するという単純なものでもありません。

 総務省は、SIMロックについて2010年の時点で解除の方向で最終的な結論を出すこととしています。利用者からみて端末の多様化はぜひ実現させたいところ。議論を続け、なるべく早くSIMロックの解除を実現できる環境作りを進めていきます。

 【質問4】

 インターネットの未来がどうなっていくのか、インターネットが直面している課題について、お考えをお聞かせください。

 【回答】

 インターネットはもはや日常生活や経済活動に欠くことのできない社会インフラになりました。メール、サイト閲覧はもとより、通信回線のブロードバンド(高速大容量)化に伴い、大量の画像を相互にやり取りしたり、動画を閲覧したり。ネットを流れる情報量は概ね2年間で2倍のペースで増え続けており、いわゆる「ネット混雑」の問題が顕在化し始めました。

 ネット混雑に対応するためには、通信会社やプロバイダーが通信回線やルーターを増設して、より多くの情報流通に耐えられるようにネットを補強する必要があります。しかし、それには多額のコストがかかります。このコストを誰が負担すべきか? というのが、この問題の核心です。

 そもそもインターネットは研究者間の内輪のネットワークとして生まれ、これが90年代に入って急成長し、ビジネスなどでも必要不可欠な道具になった経緯があります。いわば、コミュニティ型の「助け合いネット」が「商業主義ネット」へと大きく性格を変えました。

こうした変化に伴って、昔は「仲間同士だから緩く柔軟に運用しよう」と考えられてきたインターネットが巨大化し、その運営コストも上昇。インターネット運営に携わる多数の関係者(通信会社やISP)の間で、コスト問題がクローズアップされるようになりました。

 また、インターネットの世界には距離の概念がないため、日頃意識することなく、隣町の知り合いとのメール交換したり、米国の投稿サイトの動画を楽しむことが可能。それだけに、ネット上の様々な問題に対応しようとすると、国内の法律だけでは十分対応できない状況になりつつあります。インターネットの良さを生かしながら、国際的な連携の下で社会インフラとして一定のルールを構築していくこと。これもインターネットが直面している課題の一つです。

 インターネットは依然として発展途上で、ダイナミックに変化しています。こうした変化に対応した社会的ルールの在り方について、利用者である私たち一人ひとりが真剣に考え、議論に参画していくことが必要です。

(文中意見にわたる部分は回答者の個人的な見解です)

           ◇

 【プロフィル】谷脇康彦

 たにわき・やすひこ 総務省総合通信基盤局事業政策課長。昭和59年郵政省(現総務省)に入る。在米日本大使館参事官、総合通信基盤局料金サービス課長などを経て、昨年7月から現職。主にブロードバンド競争政策に携わる。最近の著書に「インターネットは誰のものか」(日経BP)。 

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