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【正論】留保利益の横取りを許すな 神戸大学教授・加護野忠男 (1/3ページ)

2008.4.2 03:02
このニュースのトピックス雇用・失業

絶対的でない株主権

 英国の投資ファンドが日本のJパワー(電源開発)の株式を購入し、経営の改善と役員の派遣を要求し、それが認められないとなると、外為法に抵触する比率まで持ち株の買い増しをすると宣言した。現在は経済産業省がその適否を審査中である。このような海外投資家の要求にいかに対応すべきかについて議論が分かれている。

 公益事業であるから外国人株主の株主権の制限は妥当だという見方と、株主権の制限は外国人投資家の日本からの離反を招くから避けるべきだという見方との対立だ。

 私は株主権を絶対視するのは間違いであると考えている。本来、株主権は絶対的なものではない。法的にもさまざまな制限が課せられている。株主に与えられた特権に対応した制限があるのは当然である。その制限は国によって微妙に違う。

 それ以外に法律として明文化されていない制限もある。利害関係者が守るべき不文律として慣習法化しているものもある。

 今回のような攻撃的株主の狙いは、日本企業が営々とため込んだ内部留保資金を奪い取ることである。彼らは自己資本利益率に注目する。留保資金を株主に配分すれば自己資本利益率を高めることができると考える。

 そのためには次のような論理が使われることがある。利益はすべての利害関係集団への支払い義務を果たした後に残るものであり、株主のものである。留保利益も例外ではない。

年度で完結しない取引

 この留保利益を企業の将来の利益を伴う成長のために使うのであれば、株主の利益になるが、現金として置いておくのであれば、その利回りはきわめて低い。そのようなお金は株主に配分すべきだという理屈である。

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