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【産経抄】2月21日
このニュースのトピックス:DVD
久しぶりに「ソニー精神」を見た、などというと、ああ、新世代DVDの話かといわれるかもしれない。確かに、東芝が「HD DVD」事業から撤退して、ブルーレイ・ディスク(BD)を主導してきたソニーは、かつてのビデオ戦争の雪辱を果たしたことになる。けれど、今回の話題はテニスである。
▼ソニーの創業者、盛田昭夫氏は、スポーツ好きで知られていた。なかでも50歳を過ぎて始めたテニスは、脳内出血で倒れるまで、週1回早朝に楽しんでいた。いっしょにプレーすることもあった、実弟の正明氏のテニス歴は半世紀を超える。
▼米国ソニーの会長時代は、ニュージャージー州の自宅裏に、コートを作り、テニスパーティーを開いて、家族ぐるみで友人を増やしたという。平成12年に日本テニス協会の会長に就任した正明氏は、協会の仕事とは別に、私財を投じて、テニス・ファンドを設立した。
▼プロのコーチが全国を回って有望な12、13歳の選手を発掘し、米国に送り出す。「人のやらないことをやろう」。低迷が続いている日本のテニス界に、ビジネス感覚で乗り込む決心をしたのは、ソニーのもうひとりの創業者、井深大氏の言葉があったから、と日経新聞の取材に語っていた。
▼ファンドがこれまで支援した15人のなかで、初のプロ選手となった錦織(にしこり)圭選手(18)が、17日、フロリダ州のツアー大会で、初優勝を果たした。16年前の韓国オープンでの松岡修造さん以来、日本人としては2人目の快挙である。四大大会での活躍の期待も高まっている。
▼正明氏は、感動という最高の配当を受け取った。格差社会では、貧困の問題に目がいきがちだが、富裕層の金の使い方も問われている。そのいい手本でもあろう。