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【話の肖像画】最先端のサキへ(5)シャープ元副社長・佐々木正さん
■「ものごと」を広めたい
《日本の産業は空洞化したと嘆いていても始まらない。それは他人に簡単にまねされる商品をつくっているのが大きな理由という。ただ、佐々木さんは単に技術の複雑なものをつくればいいとは言わない》
−−技術に何が大切ですか
佐々木 もはや「ものづくり」の時代は終わり、日本は「ものごと」づくりの重要性に気がつかないといけない。ぼくの言う「ものごと」とは心の入った製品、機械として便利なだけでなく、心に響く製品を開発しないとアジアに負けてしまうということなんです。
−−心はどうやって
佐々木 簡単ではありません。そのためには独創の時代は終わったと認識し、多くの人が協力する「共創」をしないと。独創がだめなのは、一人が思いついて商品化しようとしても、時代のスピードに対応できない。
−−商標もとりましたね
佐々木 「共創」という考え方を書類にまとめて商標登録しました。商標にしたのは、独占したいからではなく、多くの人に知ってほしいから。
−−独り占めにしていけない
佐々木 技術の発明を一人の手柄にしようなんて思ってはいけない。学者でも企業の技術者でもいいアイデアがあるとひそかに温ためている人がいる。そんな姿勢では自分のための研究開発といわれても仕方ない。技術は世の中に役立つものという考えを持てれば、研究や開発段階から他者と協力してよりいいモノをつくろうという発想になれる。
−−若いときは受験で厳しい競争。大人になって協力しろと言っても理解できますか
佐々木 だから大学の教育が大切ですね。昔は高専(高等専門学校)が機能して基礎技術を学ぶことができました。大学では広い視野で学び、それぞれの卒業生が企業で切磋琢磨(せっさたくま)するという構図がありました。
−−産学官の協力という形もありますが
佐々木 心や魂のこもった商品づくりに、調整役の官庁は時間のロスになるのではないでしょうか。米国のように産と学が密接な形が理想。企業の技術者が直接、大学に出かけて最先端の研究を知る必要があります。市場が求めるのは何か、そのためにどういう技術が必要かをもっと話し合えばいいんですよ。
−−京セラの稲盛和夫氏ら「佐々木学校」の卒業生に引き継がれているようです
佐々木 そうですね。卒業生たちはいい商品を出して世の中に貢献しています。ぼくも負けていられませんよ(笑)。(大家俊夫)
=おわり