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【話の肖像画】最先端のサキへ(1)シャープ元副社長・佐々木正さん
■「余命」ではなく92歳で現役
《松下やソニーだけではない。この人がいなかったらエレクトロニクスの分野でここまで日本が世界を席巻しただろうかという、技術屋がいる。だれもできない技術を完成させると、また最先端の「サキ」へ。過去の栄光に生きず、92歳のいまも現役だ》
−−シャープは70歳で引退しました
佐々木 副社長として社長をサポートして社長とともに退きました。これで隠居かなとも頭をよぎりましたが、79歳でナノテク研究の研究所を立ち上げました。
−−一線から退かない
佐々木 ぼくは余命という言葉が嫌いですね。生命保険や寿命の予測なんかで余命がよく言われるけど、余った命という考えはおかしいんじゃないかなと。人類全体からみれば、1人の命は小さい。小さい存在、わずかな人生ということに気づけば、人のために役に立ちたい、子供たちの世代のために貢献したいという気持ちになりますね。
−−その熱き心から世の中はどう見えますか
佐々木 団塊の世代の人が大量に定年を迎え、社会の関心事は年金をいくらもらえるか、いくらあったら余生を無事過ごせるかということになっています。でも定年は社会的な区切りにすぎず、社会のルールに定年後までも従う必要がない。自分で何をするか決めてやりたいことをやればいいんです。
−−活気がないのは世の中が成熟したからですか
佐々木 ぼくにいわせれば、団塊の世代の人はあきらめが早い。なにくそというファイトがない。
−−また何か新しいことを始めるのですか
佐々木 私はパーティーなどでよく言います。孔子は論語で「七十にして心の欲する所に従いて、矩(のり)を踰(こ)えず」と説いたが、孔子は73歳で没したからその後がない。ぼくは80歳で世の中の恩を知り、90歳からは世の中への恩返し。今年から、人間がDNAの限界点とされる120歳まで生きられるよう長寿のバイオ研究を始めようと準備しています。
《いまも、好奇心とバイタリティーの塊の佐々木さん。その原点は、戦時中にレーダー技術を学びに行ったドイツでの体験がある》(大家俊夫)
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【プロフィル】佐々木正
ささき・ただし 大正4(1915)年、島根県生まれ。京都帝大卒業後、川西機械製作所(神戸工業の後、現富士通)入社。昭和39年、早川電機工業(現シャープ)に移籍、電卓開発の陣頭指揮をとる。平成6年、国際基盤材料研究所を設立。家族は妻、浄子さんとの間に1男1女。孫4人。現在は東京の事務所と兵庫県川西市の自宅を往復する日々。