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【正論】新しい年へ ニュースが堕落していないか ノンフィクション作家・上坂冬子 (1/3ページ)

2008.1.7 02:27
このニュースのトピックス正論

領土問題の政府の不作為を怒る

 ≪赤福や吉兆よりも大切な≫

 赤福餅や料亭吉兆などの失態と防衛省前事務次官をめぐる詳細が日替わりで報じられたころ、日本はいつから井戸端会議国家になったのかと呆然(ぼうぜん)としたのは私だけではあるまい。

 報道はスキャンダルレベルに終始し、特に防衛省の問題はこれが国家的大局とどうかかわるのかという展開が一向になされなかった。大局に優先して、あれほど丹念に夫婦の失態を報じる必要があったろうか。

 その意味で昨年12月2日の本紙を手にした私は快哉(かいさい)を叫んだ。前日、根室市と周辺の4町から代表が上京して「四島を返せ」と東京・銀座でデモ行進した様子が1面トップに掲げられていた。しかもロシアの下院選挙を翌日に控え、英紙タイムズまでが北方領土問題を取り上げたタイミングをとらえての記事を、私は手に汗を握って読んだ。

 他紙はデモをベタ記事か地域面でごく小さく扱ったのみだ。タイムリーなニュースを、そんな扱いで済ませてよいものか。

 実際に、あの日のデモは圧巻であった。銀座1丁目の水谷橋公園で、「返還運動を続けてきたのに解決の糸口さえ見えぬ」とおだやかな口調ながら痛烈に吐露したのは、根室市長長谷川俊輔氏であった。これに応えて沖縄北方相岸田文雄氏が「内閣としても頑張りたい」と、国と地方とが一体となって意思表示していた。

 公園では根室市とその周辺から上京した200人余を核として、関東地区に在住する根室会の有志らがこれを囲んだ。東京根室会の会員は1万人を擁している。日本青年会議所ではすでに領土・領海委員会を設置し、今年から本格的に取り組むべく徳増栄治委員長以下有志が参集していたし、遠く熊本からはロシアが引いた架空の国境線を越えたからといって、平成18年8月16日にロシア警備艇に射殺された日本人漁師を悼んで、未亡人に見舞金を届けた中学教師らがかけつけていた。

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