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三者三様の思惑 松下、日立、キヤノンの薄型テレビ提携で
松下電器産業と日立製作所、キヤノンが薄型テレビ事業で包括提携を目指す背景には、テレビ事業の将来像を見すえた三者三様の狙いがある。プラズマに加え、液晶テレビでも存在感を示したい松下。採算面に不安を抱く日立。念願のディスプレー事業進出を果たしたいキヤノン。思惑が一致した3社連合で、国内メーカーはシャープ、ソニーを加えた3陣営にほぼ集約されることになる。
今回の提携交渉は、プラズマテレビ首位の松下が液晶テレビ事業を強化する意味合いが強い。プラズマの牙城とされてきた大画面にシャープやソニーなど液晶陣営が攻勢をかけており、37型以上の大画面をプラズマで一本化してきた松下も、40型台前半まで液晶テレビのラインアップをそろえる必要があった。
加えて、「台湾メーカーなどからのパネル供給量が足りず、(年間400万台の)販売目標の達成が危ぶまれる」(関係者)ため、安定供給を確保する狙いもある。
一方、日立はプラズマ、液晶の両方式で巨額投資を要する生産設備を抱えており、製品価格の下落もあって平成19年9月中間期は約500億円の営業赤字だ。プラズマの宮崎工場(宮崎県)を増強し、「自前で必要量を確保する」(幹部)態勢を整備した一方で、今回の提携で液晶製造の関係会社は出資を縮小し、生産施設の「選択と集中」を進めて投資効率を高める決断をした。
キヤノンにとっては、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)技術を持つ日立と組むことで、悲願のディスプレー事業進出に近づく。11月には有機ELの製造装置メーカーを買収しており、パネルの自社生産態勢を築き、主力のデジタルカメラなどに屋外でも視認性が高い有機EL画面を搭載できるようになる。
薄型テレビ事業は2000年に入って再編期を迎え、NECがプラズマ事業を売却したほか、ソニーは韓国サムスン電子との合弁生産に入った。さらに今年、大阪府堺市で世界最先端の新工場を着工したシャープがパイオニアに液晶パネルを供給する方向で関係強化を進める動きが浮上した。巨額投資に耐えられる体力を持つメーカーを軸に、さらに連携が強まる可能性も指摘されている。(塩原永久)