ニュース: 経済・IT RSS feed
【主張】信書規制緩和 「全国一律」に衆知集めよ
日本郵政グループが独占する手紙やはがきなど一般信書便事業にどう競争原理を導入し、活性化できるのか。
平成15年に一般信書便にも複数業者の参入が可能になったものの、新規参入ゼロが続いている。この事実をふまえ、郵便・信書制度見直しを検討している総務省の研究会が中間報告をまとめた。
新規参入の障害となっているのは、郵便ポスト約10万本の設置、単独で都市部も離島も同じ条件で配達する「全国一律サービス」の義務づけだ。これでは明らかに負担が大きすぎる。
中間報告は、この2条件を緩和した。ポスト設置義務では、コンビニエンスストアなど店舗での引き受けも認める。複数業者が共同で全国をカバーすればよいとし、過疎地の日本郵政への委託を可能にしたのである。
同時に、郵便物を重量で分け、軽量は独占状態を認め、それ以外を競争させるという海外で一般的な方式はとらず、日本独特の信書・非信書の区分を残した。すでに宅配便業者らが参入している「非信書で軽量なもの」を排除する恐れがあるとの判断からだ。
こうした研究会の努力は評価できるものの、実際に新規参入が増えるかはなお不透明だ。日本郵政は、ドル箱の都市部を新規参入組に奪われ、不採算地域を押しつけられる事態を警戒している。過疎地サービス委託料を高額にすると、大半の業者が信書便参入を見送る可能も高くなる。
問題は、万国郵便条約が義務づける郵便の全国一律サービスをどう維持するかに帰着する。問われているのは、都市部で利益をあげ、過疎地のコストをまかなう従来モデルが崩れた後の新モデルの構築なのである。
研究会は、これらについて来年6月の最終報告まで検討を続けるという。米国は機動的な料金変更を認め、欧州は業者による基金設置、税制優遇などを検討している。参入希望事業者の意欲を鈍らせず、かつ重要な社会的基盤である郵便に参入することへの自覚を促す必要もあろう。
郵便事業は扱い量が年々減り、利益率も低い。価格面以外にどんな競争ができるか。日本郵政も他の事業者も積極的に知恵を出し、議論を展開して、国民が民営化の恩恵を実感できる郵便活性化を実現しなければならない。