ニュース: 文化 RSS feed
棋聖戦「孤独な営為に深い感動」米ミューズ・アソシエイツ社長 梅田望夫 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:囲碁・将棋
また、おそろしく緊迫する対局室の中でさわやかな存在感を示していたのが、記録係の田嶋尉三段(奨励会)の姿だった。正味9時間以上に及ぶ熱闘の傍らで一度も正座を崩さず、記録と秒読みの仕事を完璧にこなして立派だった。彼はじっと盤面を見つめて、両対局者と共に静かに考え続けていた。
対局の翌朝、佐藤棋聖と田嶋君と私の3人が、たまたま一緒になる機会があった。私は田嶋君に、前日の仕事ぶりを褒めた。しかし彼が私に何か返答する前に間髪入れず、佐藤棋聖が真顔で厳しくこう言った。
「修業ですから」
「あんなこともできないようでは、その先にプロとしてやっていくことはできませんから。プロの仕事はもっともっと大変ですから」
佐藤棋聖の言葉に、私は震えた。現代日本が忘れてしまった何かが、そこには凝縮されていたからだ。
将棋の世界には、日本文化の素晴らしき部分が深く確かに継承されている。そしてそれゆえに、現代という厳しい時代を私たちが生きていくうえで学ぶべき要素が無尽蔵に含まれている。2泊3日の新潟での豊穣な時間は、私にそれを教えてくれたのだった。(寄稿)
このニュースの写真
関連ニュース
- 【第79期棋聖戦五番勝負第2局】21日午前9時からライブ中継
- 【第79期棋聖戦五番勝負第1局】佐藤「馬がうまく使えました」

- 【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(5)「真理」を探求する対局者、終局後の「至福の時間」

- 【第79期棋聖戦五番勝負第1局】佐藤棋聖が先勝≪棋譜再現≫

- 【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(4)「孤高の脳」が生む無限の広がり

- 【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(3)未踏領域に突入、「均衡の美」をタイトル保持者が解説

- 【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(2)羽生挑戦者「秘策」に誘導か

- 【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(1)桂の佐藤棋聖、銀の羽生挑戦者

- 【第79期棋聖戦五番勝負第1局】▲羽生王座・王将−▽佐藤棋聖≪棋譜再現≫

- 【第79期棋聖戦五番勝負第1局】盛大に前夜祭


