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【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(1)桂の佐藤棋聖、銀の羽生挑戦者 (3/5ページ)
「ちなみに私の場合、ある人が統計をとったところ、全ての駒の中で銀をよく使っているそうです。そう言われてみると、自分でも納得できるところはあります。囲いを作り攻めの形を作って展開していくときに、銀という駒はつなぎの糊のような働きをします。糊をたくさん使わないと、なかなか駒がつながらないのです。私は駒組みのとき、駒のつながりということを強く意識しているので、必然的に銀をよく使っているような気がします。」(「先を読む頭脳」新潮社)
羽生さんは物事を抽象化する名人だと、話していてよく思うのだが、「銀」という駒を「駒のつながり」における「つなぎの糊」だと表現している。
妻の運転する車でサンフランシスコに向かう道すがら、「羽生さんの銀に相当するのは、佐藤さんにとっては何なのだろう」と、ふと興味が湧いた。「善は急げ」である。サンフランシスコ空港のラウンジでネット接続した私は、佐藤さんにその答えを問う質問メールを出し、あわてて飛行機に乗り込んだ。ファンを大切にする佐藤さんのことだから、きっと名答が返してくれるのではないかと期待しながら。
十数時間後、東京でホテルにチェックインしたとき、果して佐藤さんからのメールが届いていた。
「メール拝受いたしました。ご質問の回答ですが、私の場合は『桂』でしょうか。
動き方の特異な性質、意外性という意味もありますが、盤上に配置されている駒の中で、一番使うのに気を遣う、配る感じがしています。
玉、飛、角、金、銀、は否が応でも動かし、使わざるを得ません。香、はなかなか使うのが大変です。そのままの配置で身をゆだねるよりないケースが多い。歩、は使う回数が多いですし、プロレベルでは1番難しい。ただ、桂、は自分が使う意志を持つか持たないか(好きの度合いということもあるかもしれません)によってかなり違う感じがするのです。
しかし何でも強引に使おうとすると、頭が丸いので狙われたりして失敗のケースも多い。実際私もこのケースがよくありますが(居飛車の場合の攻め駒となる右桂が多いですが)、それでも何とか使いたいとの思いから将棋の創りをそうする場合もあります。
もちろん戦型によっては全く使えない(というかそのままの配置で良い)、使わない方が良い場合も多いので、その見極めはありますがその中でも自分は多いようには思っています」
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