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【正論】天皇の20年 皇位継承に制度的安定を 東京大学名誉教授・小堀桂一郎 (1/3ページ)
平成21年といふ新しい年を迎へて、我が国が官民挙げて取り組むべき重要な国家的課題は何々であらうか。是非に且(か)つ緊急に解決しておかなければならぬ懸案は次々と思ひ浮かぶのだが、昨年12月19日に今上(きんじょう)天皇御在位20年奉祝の式典が執行(とりおこな)はれ、本年11月12日には平成2年の即位の御大典挙行から20年目といふ奉祝行事が開催されるといふ予定に鑑(かんが)みても、次の一事こそ本年といふこの機会を捉(とら)へて何とか解決に漕(こ)ぎつけたい喫緊の大事である。
即(すなわ)ち、平成18年9月6日、秋篠宮家に待望の皇位継承権を保有せられる男児として悠仁(ひさひと)親王殿下が御誕生になつたことは、文字通りに暗夜に曙光のさし初(そ)めた如き慶(よろこ)びを国民にもたらしてくれたのであつたが、反面、皇位継承といふ国家最大の重儀の末長い安定をと志して展開されてゐた国民運動の熱気が、御慶事を契機に急速に冷却してしまつたといふ事態がある。
危機の回避には至らず
顧みれば、平成17年12月に小泉内閣が召集した「皇室典範有識者会議」の面々の統一見解であると伝へられた、国体の破壊を企(たくら)む典範改悪の方向に危険を感じた一部民間有志の研究組織たる「皇室典範研究会」(本「正論」欄の執筆員である大原康男、百地章、八木秀次の諸氏もその成員である)は、度々の声明発表や集会決議を通じて、典範改悪への策謀の阻止を訴へ、警告を発してきた。18年2月7日の秋篠宮妃殿下御懐妊の朗報を以(もっ)て、典範改悪の謀議は一朝にして事実上瓦壊したのだが、この会はその後に於(お)いても、皇位継承の危機回避・制度的安定のための最大の鍵は、一皇族男子の御出生のみを以てしては到底覆ひきれない深層に存するとの見解を持して、引続いて特別立法案の研究を進めてゐた。

