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【話の肖像画】美手ありき(5)女流棋聖・梅沢由香里さん
■いつか五輪の正式種目に
−−囲碁の国際化についてもう少し。昨年のアジア大会では、陸上やサッカーに交じってチェスが競技の一つとなり、話題となりました。囲碁も同じ道を歩むのでしょうか
梅沢 もし、囲碁がそんなかたちで世界に広まればすごくうれしいですね。いま、北京五輪(2008年)の後に「頭脳五輪」の開催を計画していますが、いつか囲碁を五輪の正式種目に、というのが最終的な目標です。国際競技連盟連合(GAISF)に加盟することが国際オリンピック委員会(IOC)に五輪競技として認められる第一歩とされているのですが、国際囲碁連盟はすでにGAISFに加盟しています。
−−国民性や棋士個人の考え方にもよるのでしょうが、囲碁は「勝負」でしょうか、それとも「芸(術)」なのでしょうか
梅沢 どちらかを選べ、とおっしゃられるのならば「勝負」ですが、わたしは囲碁は「分かち合う勝負」だと思っています。
−−勝負なのに分かち合う。どういう意味でしょう?
梅沢 囲碁の場合、盤上を全部自分のものにしようとすると絶対に負けます。ですから、このへんは献上するけれども、このへんはいただくわ、という風に与え合うのです。友好的、というわけではありません。でも、勝負事なのだけれども、お互いの協力があって美しい碁が生まれる。囲碁は相手をたたきのめすゲームではありません。
−−林海峰名誉天元は「囲碁は負けてもらうゲーム」、趙治勲十段は「対局が終わった瞬間、棋士は勝者も敗者も互いにたたえ合っている」とおっしゃってますね
梅沢 囲碁の大きな魅力の一つは、「人と打てる」ということだと思います。初めての人と打つと、何となく親しみがわいてきたりします。もちろん、勝負ですから、負ければ悔しいし、一瞬、憎たらしい、と思ったりするのですけれども…(笑)。それでも、どこかに親しみを持っていたりしますから、囲碁はわたしにとって人と人とをつなげてくれる道具だな、と感じています。
−−監修された大ヒット漫画『ヒカルの碁』では時空を超えて「神の一手」を追い求める棋士たちの姿が描かれました。最後にお聞きしたいのですが、梅沢さんの目標も「神の一手」でしょうか
梅沢 わたしは藤原佐為(ふじわらのさい)(霊魂が現代によみがえった平安時代の天才棋士。主人公の進藤ヒカルの指南役)のように「神の一手」を目指すことはありません。ただ、自分らしい、といいますか、自分の力を出し切り、打って気持ちのいい一手を探し求めて行きたいと思っています。=おわり

