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【話の肖像画】美手ありき(1)女流棋聖・梅沢由香里さん
■小学校に日本文化の授業を
《女流のトップ棋士。対局の合間をぬって、テレビや解説書などを通じて囲碁をわかりやすく伝え、その普及に努める。多忙さとさわやかな笑顔は「囲碁界のアイドル」と呼ばれた昔もいまも変わりないようだ》
−−今度、客員教授として大学(東邦大)の教壇に立つそうですね
梅沢 まだ始まっていませんが、講義を受け持ちます。まずは囲碁のルールを教え、問題を出し、講義が終わるころには碁が打てるようになることを目指すつもりです。開講(5月9日)を前に模索しているところはありますが、深く物事を考える、という囲碁の思考方法が受講生のみなさんの知性を刺激し、眠っている能力を引き出すきっかけになってくれればいいな、と思っています。
−−囲碁の普及活動に長く携わってらっしゃいますが、お弟子さんは?
梅沢 いないです。取れるような器でもないです。
−−弟子の育成は普及活動の延長ではないのですか?
梅沢 碁の場合、弟子を取るということは、その子供をプロの世界に導くということで、その子供の人生を変えるような大きなことを意味します。そこがほかの習い事のお弟子さんと師匠の関係とは違うところではないでしょうか。
−−自分の棋風を継承するような後進を育てようとは思わないのですか?
梅沢 日本の囲碁のよいところは、それぞれがみんな自分らしさ、個性を持っていることだと思います。だから、「棋風の継承」などは全然考えていません。それよりも、囲碁の楽しさを子供たちに伝えてゆきたいです。いまは囲碁というか、日本文化というものが伝わりにくい状況になっており、文化に携わる人間として寂しい気持ちがしていますので…。
−−囲碁は文化である、ということですか
梅沢 そう思います。1500年ほども前に日本に伝わり、それからずうっとはぐくまれてきているのですから。平安時代には、囲碁は書道や絵画、音楽とならんで貴族の文化的教養の一つだったといいます。ただ、囲碁に限りませんが、日本の伝統文化は大人になってなじもうとしても相当大変です。最近、小学生のうちに「日本文化」という授業があったらよいのになあ、とすごく感じています。(聞き手 関厚夫)
【プロフィル】梅沢由香里
うめざわ・ゆかり 昭和48年、東京都生まれ。小学校1年生のとき、父とともに囲碁をはじめる。平成7年12月にプロ試験に合格し、翌春、慶応大学を卒業。14年に5段。今年2月には女流棋聖戦を制し、念願の初タイトルを獲得。国際囲碁連盟の理事も務める。