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【書評】『キスカ撤退の指揮官』将口泰浩著 (1/2ページ)

2009.11.8 09:00
「キスカ撤退の指揮官」「キスカ撤退の指揮官」

 ■決断と責任感、あるべき姿

 本書は海軍中将、木村昌福(まさとみ)を通し、組織において指揮官のあるべき姿を示しているといえるだろう。

 木村は昭和18(1943)年7月29日、アリューシャン列島の米国領キスカ島の守備隊約5200人を救助した司令官である。その2カ月前に隣り合わせのアッツ島約2500人以上が玉砕。米軍包囲網のなか、濃霧に紛れて救出した作戦は米軍に「パーフェクトゲーム」と呼ばれた。

 第1次撤退作戦の際、突入をはやる部下や救出を待っている守備隊の心情を考慮しつつも、気象士官の「視界良好」という突入不適という判断を尊重し、撤収を命じ、「帰ろう、帰ればもう一度来ることができるからな」とつぶやいた。第2次撤退作戦で救出に成功した帰途、米潜水艦と遭遇。「一発やりますか」という参謀に対し、「ほおかむりで行け。毛を吹いて疵(きず)を求めるな」と諭した。さらに昭和17年10月の南太平洋海戦で左右同時に魚雷攻撃を受けた。一瞬の判断に迷い、木村の顔を見た航海長に対し「真っすぐに行け」。部下が迷ったときこそ、指示を与え、自分の立場、責任を明確にすべきという木村の真骨頂である。

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「キスカ撤退の指揮官」
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