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【書評】『リクルート事件・江副(えぞえ)浩正の真実』江副浩正著

2009.11.7 08:10
「リクルート事件・江副浩正の真実」「リクルート事件・江副浩正の真実」

 ■圧巻は取り調べのくだり

 リクルート事件の発生から21年たったが、洪水のような当時の報道はまだ記憶に生々しい。戦後日本の重大事件として必ず挙げられ、今日では教科書にまで載っている。その主人公が沈黙を破って告白したのが本書。「静かにしておいたほうがいい」との親友の忠告もあったが、「黙って死ぬわけにはいかない」との思いもあり、その葛藤(かっとう)は冒頭に記される。これらを乗り越え、著者はすべてを実名にて綴(つづ)る本作を発表することになった。

 圧巻はなんといっても取り調べのくだりだろう。逮捕されて東京拘置所へ収監されてから身に起きたことを、当時の房中ノートなどをもとに著者は再現する。拘置所の生活が詳しく記されるとともに、検事による取り調べが、「壁に向かって立たされる」「土下座をさせられる」など、まさに「現代の拷問」ともいえるすさまじさだったことが明らかにされる。

 13年3カ月の長きにわたったリクルート裁判についても、著者は筆をさく。無念の気持ち、多くの人を苦しめてしまったことへの悔恨など、節目ごとの個人的心境もたびたび登場。ひとりの企業経営者が突然の報道によって、ある日から大波に翻弄(ほんろう)されたつらさがひしひし伝わってくる。

 なお、本書とペアを組む『取調べの「全面可視化」をめざして〜リクルート事件元被告・弁護団の提言』をいま編集中だ(12月刊、中央公論新社)。本書著者も「一被告人経験者の生の声」として一文を寄せている。併せてお読みいただければ、事件の内実がさらにわかるであろう。(中央公論新社・1575円)

 中央公論新社ラクレ編集部部長 横手拓治

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