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【書評】『差別と日本人』野中広務、辛淑玉著
■心情わかる良質なテキスト
自民党幹事長や自治大臣をつとめ、長らく政界で要職の地位にあった元衆議院議員・野中広務氏と、歯に衣(きぬ)着せぬ辛口評論で論客としても多大な人気を誇る人材育成コンサルタントの辛淑玉氏が、己の出自をひもときながら、日本にはびこる差別の実態と不平等について語り尽くした話題の新書です。発売直後から全国で話題騒然となり、発売4カ月あまりで37万部を数えるベストセラーとなっています。
野中氏は政治家人生における大テーマとして差別との戦い、そして差別に関した利権との戦いを続けてこられましたが、その思いを積極的に語る機会はこれまでありませんでした。理不尽な目にあった若き日の出来事をはじめ、政界におけるぬぐい去られることのない差別意識など、本書によってはじめて日の目を見た内容も少なくありません。
本書は差別問題の入門書として、昭和という時代における数々の差別事件の解説を読んでいくこともできます。語られる機会の少なくなった事件もありますが、それらはまだ遠い昔のことではなく、簡単に忘れてはならないものばかりです。またお互いの半生を振り返りながら、家族への思いを切々と語った最終章は、当事者たちの心情を知る上でこの上ないテキストとなることでしょう。
部落差別とは? 在日差別とは? 戦わなければ差別され、戦えば家族や身内が巻き添えとなる孤独な戦い…。表立って語られることの少なかったテーマを中心に、2人の戦いの歴史から本当の日本の姿を垣間見る究極の日本人論でしょう。(角川oneテーマ21・760円)
角川書店編集局 原孝寿
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