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【書評】『戦場の哲学者』J・グレン・グレイ著、吉田一彦監訳、谷さつき訳 (1/2ページ)

2009.11.1 08:25
『戦場の哲学者』(J・グレン・グレイ著、PHP研究所、1785円)『戦場の哲学者』(J・グレン・グレイ著、PHP研究所、1785円)

 ■戦う国のもう一つのバイブル

 「1959年?」 まずこの数字に驚かされる。本書は同年に米国で刊行されて以来、いまだに版を重ねて読み継がれているというのだ。

 読み進めるにつれ、本書が半世紀にもわたって米国人の心をひきつけてきた理由が次第に明らかになる。戦争をし続ける国にとって、この書がもうひとつのバイブルにほかならないということも…。

 罪も恨みもない人間を殺すという、狂気を犯した自らの正気をいかにして保持していけばよいのか。ベトナム、湾岸、イラク、アフガン…。このことは戦争が終わるたび、いや戦時中でさえも、狂気にかかわった人間が背負わなければならない十字架だ。

 著者は兵士として第二次世界大戦中、軍務に服した哲学者であり、自らの苦悩を赤裸々に告白する。とりわけ、哲学者ゆえの冷静な考察の下、兵士の心情をリアルタイムで描写した戦時日誌が、読み手に強烈な臨場感とリアリティーを提供してくれる。

 恐怖と憎悪と政府のプロパガンダ、そして抽象性が自分を平気で人を殺せる「兵士」にしてゆく。これはあまりにも薄い皮膜で隣り合わせになった、神と悪魔のごとき人間の二面性に起因する、やむを得ない現実だ。戦争という「危険で、不快で、必然なもの」がそれをむき出しにする。

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『戦場の哲学者』(J・グレン・グレイ著、PHP研究所、1785円)
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