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【書評】『昭和正論座』石川水穂・湯浅博編 (1/2ページ)
■「敗戦の後遺症」の超克
産経新聞の毎週土曜・日曜のオピニオン面に、「昭和正論座」が掲載されている。
これは、昭和48年6月から始まった「正論」欄の中から今でも色あせない論文を再掲する企画だが、本書は発足時より昭和49年12月までの期間から選ばれた論文を一冊にまとめたものである。
今から36年ほど前の時事論文集だが、少しも古びていないのは、ちょっと不思議な気がする。時事論文だから、その時、その時の事件や状況を取り扱っているのだが、読んで今日の問題意識にも触れてきて、現在のもののように感じられるのは、一つにはここに再掲されている論文を執筆している正論メンバーが時事問題を、たんに時事問題の解釈で終わらせずに、もう少し普遍的、あるいは歴史的な視点から論じているからであろう。
それと、もう一つの理由は、ここで批判されている戦後日本の歪(ゆが)みが、今日まで変わらずにつづいているからに違いない。このことに思い及ぶと、絶望的な気分になるが、その点は香山健一氏が書いている、「一国が戦争に敗れると、その後遺症は時として数世紀にも及ぶと言われている。敗戦の後遺症は、物質生活、精神生活の全領域にわたり、政治、社会、文化、教育の全分野に広がるが、精神生活の諸領域に属するものは治癒することが困難で、その回復には非常に長い時間が必要とされるもののようである」という認識の上に立って、辛抱強く「敗戦の後遺症」の超克に努めなくてはなるまい。
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