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【話題の本】『日本の難点』宮台真司著
■現代を生き抜く処方箋
日本の最重要課題を一線のオピニオンリーダーが論じ合う『日本の論点』(文芸春秋)。それを、たったひとりで、しかも一般向けの新書でやってしまうという力業に挑んだ一冊だ。
当然、難解な社会学用語も頻繁に出てくるが、4月中旬の発売から1カ月余りで6刷10万3000部を発行。現役大学生から40〜50代まで読者層は幅広く、女性読者も多いという。
派遣切り、格差社会、自殺者3万人…とかく「生きにくい」といわれる時代。「現代を生き抜く上で必要な急所を整理し、処方箋(せん)を出すのが企画の狙い。世の中が大きく変わる中、現在の逆境の理由を知りたいという気持ちが高まっているのでは」と、幻冬舎の編集担当、穂原俊二さんは分析する。
俎上(そじょう)に載せるのは、雇用、マスメディア、教育、対米関係、環境問題、秋葉原事件など42の論点。例えば、昨今ブームの早期教育については「バカげている」(理由は本を読んでのお楽しみ)。迅速性を優先させる裁判員制度には反対だし、「内定取り消し」問題では学生側の甘さを指摘する。著者の実体験を交えながら、一気に抽象度を上げて核心に迫っていく筆致は鋭い。
「ネット上では各テーマについて賛否が割れていますが、議論が盛り上がるのは大歓迎。気になる項目だけ拾い読みできる点も支持されている」と穂原さん。
すべてを読むと、日本が抱える問題の根深さに改めて気づかされる。《通読すれば眩暈がするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈ではなく、〈社会〉の複雑さによる眩暈でしょう》(著者のあとがき)。わかりやすさが礼賛され、複雑な事象も単純に図式化するだけで理解した気になってしまう。そんな世の中への警鐘とも読める。(幻冬舎新書・840円)
海老沢類
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