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小山内薫、幻の長編「お岩」復刻

2009.5.18 08:29
このニュースのトピックス伝統芸能
小山内薫 小山内薫 

 明治から昭和初めにかけて活躍した劇作家で演出家の小山内薫(1881〜1928年)が、日刊紙「万朝報」で連載してきた長編小説「お岩」が復刻され、22日にメディアファクトリーから発売される。ファンの間では「幻の怪談」とも呼ばれた傑作だ。

 小山内薫は森鴎外の知遇を得て舞台演出や翻訳を数多く手がけ、大正13年には築地小劇場の創設にかかわるなど、近代演劇史に大きな足跡を残し、「新劇の父」と称された。

 復刻本の編者で、文芸評論家の東雅夫さんによると、「お岩」は90年前の大正8年8月から翌年1月にかけ、連載された。

 「お岩」といえば、鶴屋南北の歌舞伎「東海道四谷怪談」がよく知られる。「江戸時代に、貞女のお岩が江戸の四谷で夫の伊右衛門に毒薬で惨殺され、幽霊となり、仕返しを果たした」という筋立てだ。

 だが、小山内の小説は、お岩が生まれつき醜い容姿として描かれた伝説を踏まえていることなどが違う。

 小山内は、講談や落語で語られてきた「四谷怪談」を米国の日本文化研究家、ジェイムズ・S・ド・ベンネヴィル氏が日本の幽霊話として英語で紹介した本を“逆輸入”し、「お岩」として翻訳した。だが、連載を終えた後、単行本化もされず、昭和初めに刊行された小山内薫全集にも収録されてはいなかった。

 東さんは「小山内に怪談をこよなく愛した一面があったことを知るいい機会。話の舞台となった江戸時代後期の鬱屈(うっくつ)した空気は、不況の現代日本に漂う空気と同じで、一読すると、身につまされる怖さがある」と話している。

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