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【集う】平成21年度吉川英治賞(東京・内幸町の帝国ホテル東京)
デビューさせてくれた編集者に感謝
松本清張、司馬遼太郎、水上勉、池波正太郎…。国民作家の名を冠した吉川英治文学賞の歴代受賞者をひもとくと、そうそうたる作家の名前が並ぶ。
10日、東京都内で行われた第43回吉川英治文学賞と第30回吉川英治文学新人賞、第43回吉川英治文化賞の贈呈式。文学賞に選ばれた奥田英朗(ひでお)さん(49)は、あいさつでこの歴代受賞者の顔ぶれに触れ、「あきらかに私はキャリア不足。それでも選ばれたのは、おそらく作品そのものが評価されたのだと思います」と謙虚に喜びをかみしめた。しかし、先に講評に立った選考委員の渡辺淳一さんは冷静に力量を評価。「現役ばりばりの一番盛りの作家にいく賞。リアリティーがあって深みがあって、ドラマチックな作品を期待している」と、伝統の賞に新たに名を連ねた作家をたたえた。
受賞作『オリンピックの身代金』(角川書店)は、五輪開催を控えた昭和39年の東京を舞台に、爆弾テロと警察との闘いを描いたサスペンス。「ここ10年で一番心血を注いだ」という渾身(こんしん)の自信作だ。渡辺さんは、五輪招致に力を注ぐ石原都知事の名前を挙げて「ぜひ読んでもらいたい」とユーモアたっぷりにアピールし、会場を和ませた。
吉川英治賞はいずれも講談社が推進する文化事業。奥田さんの処女作は平成9年に同社から刊行されている。それだけに感慨深かったのか、あいさつは今は亡き担当編集者の思い出で締めくくった。「デビューさせてくれた編集者は岡圭介さん。持ち込みの長編小説でデビューし、トントンと階段を上った作家は、新人賞が行き渡った現在では多分私が最後かも。ということは、岡さんもまた最後の文芸編集者なのかなと…」。盛大な拍手が、作家を包み込んだ。(堀晃和)
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