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「海賊」から描く地中海世界 塩野七生さん、2年費やした新作 (1/2ページ)

2008.12.21 10:43
塩野七生さん塩野七生さん

 15年がかりで大作「ローマ人の物語」全15巻を書き終えたローマ在住の作家、塩野七生さんが、執筆に2年を費やした新作「ローマ亡き後の地中海世界」(新潮社)を世に問う。1000年以上にわたる地中海世界の動向を「海賊」という切り口から描いた上下2巻の力作だ。刊行を前に来日した塩野さんが新著について語った。

 「ローマ人はすばらしい技術や哲学はつくりませんでしたが、安全保障を人々に贈りました。そのローマが無くなると地中海世界から、法を守らなければならないという倫理観も失われてしまいました」

 西ローマ帝国が滅亡したのは紀元476年のことだ。その後、イスラム教を信奉する海賊が台頭し、「右手に剣、左手にコーラン」を掲げて拉致・略奪を繰り返すようになる。現在のソマリア沖を想起させる状況だ。

 「あれもイスラムですね。どこの船がいつどこを航海しているかを彼らは把握しているようです。もし周囲の国々にそうした情報ネットワークがつくられているのなら問題は複雑」と塩野さん。ただ、ソマリアの海賊を意識して新作に取り組んだわけではないという。

 なぜ「海賊」を選んだか。それは「法の精神が失われた世界を象徴しているから」と説明する。

 「地中海から海賊がいなくなるのは1856年のパリ宣言を待たなければなりませんでした。取材で訪ねたイスキア島で若い漁師と話したら『ひいおじいさんの時代は漁なんてできず、山の中に隠れていた』というんです。かつては海のそばに住むぐらい危険なことはなかった」

                  ◇

 「ローマ人の物語」を書きながらカエサルに恋したという塩野さんだが、今回も魅力的な男たちと出会えたという。特に海賊に拉致され奴隷となった無名の人々を武力ではなくカネで買い戻すために地道に活動した「救出修道会」と「救出騎士団」の男たちに強くひかれたそうだ。

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塩野七生さん
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