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【書評】『名人を夢みて 森内俊之小伝』椎名龍一著
昨年の将棋名人戦で4連覇を達成して名人通算5期となり、十八世名人の資格を得た森内俊之九段は、同世代のライバル、羽生善治棋聖(四冠)と比べれば遅咲きといえる。羽生とは小学生のときから競い合った仲だが、トントン拍子にタイトル獲得を重ねる羽生に対し、森内は無冠の帝王と揶揄(やゆ)されていた。そんな森内だが、羽生に逆転したといえるのは名人戦だけである。十八世も羽生で堅い、という世評をひっくり返して勝ち取ったのだ。
本書は森内の少年時代からプロになってA級に駆け上るまでの葛藤(かっとう)と栄光、そして永世名人になるまでを描く。将棋界では「名人は選ばれた者がなる」と言われるが、森内は十八世の資格を得たとき「自分が選ばれたとは思えない」と応えているのが興味深い。(NHK出版・1260円)
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