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【書評】児童書 『ふたご桜のひみつ』たからしげる著、こころ美保子絵
■少年の導かれた先には…
小学5年生の北里優人は、生まれ育った仙台を離れて、東京都心のマンションに引っ越してきた。11階の自室から見下ろす風景は「どこもかしこも…人間の手をかけたもので埋めつくされている」かのようだ。ところが、すぐ近所に不思議な一角があることに気付く。それは盛時をとうに過ぎた、旧式の団地だった。駅が近く、繁華な商店街も隣接するのに、その一帯だけが時を止めている。優人の冒険心に火がついた。
団地へ足を踏み入れた優人に、ひとりの老女が親しく声をかけてくる。彼女によると、団地は半世紀以上も前に建てられたもので、現在は多くが空き家になっているという。たくさんの家族が住んで活気に満ちていた昔の団地の様子や、かつてここで暮らしていた、優人によく似た顔立ちの少年「浩介」のことなどを聞かせてくれた。
老女の肩越しにふと目をやると、赤いカチューシャを付けたかわいい女の子が目にとまる。ここにはもう、子供はひとりも住んでいないと老女はいうのだが…。少女は手をひらひらとふって、優人をまねき寄せている。果たして優人が導かれた先は…。
ジュニア向けミステリー小説を得意とするたからしげる氏の16番目の作品。昨今のスピリチュアルブームが、児童向けの作品にも根付いてきたことを感じさせる。もはや「オーラ」という言葉の説明はいらないし、超常現象にも、ある種の真実味を感じるようになってきた。理不尽な事件が多発する世の中において、数字や理論で証明することに限界を感じているのかもしれない。スピリチュアルな観点から見た方が、つじつまが合うことも多いような…。子供の世界は大人世界の縮図だから、そんな現代人の趣向が反映されるのだろう。(岩崎書店・1365円)
評・田上菜奈(絵本作家)
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【プロフィル】たから・しげる
昭和24年、大阪府生まれ。立教大卒。著書に『ぶっとび!スクール』『プルーと満月のむこう』など。

