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【話題の本】『東京今昔散歩』原島広至著
■つかの間の時空旅行へ誘う
古地図を持って街歩きを楽しむ人が増えている。地図と街の様子を伝える写真をまとめた手軽な文庫本は、古地図ファンのすそ野を一気に広げたのかもしれない。
「東京」と地域を限定したタイトルながら、9月の発売から2カ月余りで6刷3万8000部を発行。三省堂書店の神保町本店(東京都千代田区)では、並み居る人気作家を押しのけ、7週連続で文庫部門の売り上げトップを記録した。
「古地図に興味はなくても『これを持って歩いてみたい』と購入する方が多い。類書は多いが、どれも大きすぎたり、地図や写真がモノクロだったり…。持ち運びに便利な文庫サイズでオールカラーにした点が支持されている」と、中経出版の担当編集者、細田繁さんは分析する。
古地図と現代地図だけでなく明治から昭和にかけての彩色絵はがきや古写真と、ほぼ同じ視点から撮影した現代の写真を並べて掲載。江戸末期に火災で焼失した浅草の雷門が、100年前にも再建されていなかったことなどが分かって興味深い。
「景観の変化が著しいときは建築学の透視図法を用いて撮影ポイントを割り出した。よく知っている場所に立って、昔と今の違いを臨場感のある写真で比較できるのも魅力です」
徳川家系図と将軍の墓地の所在や隅田川にかかる橋の歴史といった豆知識も豊富で、純粋な読み物としても楽しめる。読者層は30〜40代が中心と意外に若く、外回りのお供にするビジネスパーソンも少なくないとか。
散策するだけなら、それほどお金は使わないし、健康維持にも効果的。つかの間の時空旅行へと誘(いざな)ってくれる本書は、息の長い一冊になりそうだ。(中経の文庫・690円)
海老沢類
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