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【書評】『六本木ケントス物語』島敏光著
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■オールディーズの本質を探る
1976年初夏、まだ、オールディーズやライブハウスという言葉が知られていなかった頃(ころ)、東京・六本木のケントスというレストランに数人のミュージシャンが集まった。元ブロードサイド・フォーのクロパンこと黒澤久雄、元ヴィレッジ・シンガーズの小松久と林ゆたか、元バニーズの鈴木義之、元エモーションの金沢淳、ハルヲフォンの近田春夫、ピアニストの鈴木孝夫、元スウィング・ウェストの山本とおる。このメンバーがダーティー・サーティーズと名乗って演奏活動を始めたことから、ケントスの伝説が始まった。
演奏する曲はビートルズ以前の曲のみ。プレスリー、ポール・アンカ、ニール・セダカ、ベンチャーズ等々、映画の「アメリカン・グラフィティ」の世界、それが即(すなわ)ちオールディーズだ。
毎週火曜日の夜にくり広げられた、このおとなたちのパーティーの楽しさは、口コミで伝わり、たちまち、お客が殺到し、ケントスの扉の前には列ができるようになった。そして、岩城滉一、麻丘めぐみ、ミッキー・カーチス、かまやつひろしといった芸能人が常連になっていった。
著者の島敏光は、ケントス新聞というフリーペーパーの編集に携わりながら、このケントスのムーブメントの最初から現在までをつぶさに観察した人。
ケントスの社長の安本昌弘、黒澤久雄、林ゆたか、岩城滉一、麻丘めぐみ等(ら)へのロングインタビューを含めて、その魅力の本質を探り出す。オールディーズ好きの団塊の世代の方たちにこそ、ぜひ、読んでほしい。(扶桑社・1575円)
扶桑社書籍編集部 藤原龍一郎

