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【書評】『リクガメの憂鬱』バーリン・クリンケンボルグ著、仁木めぐみ訳 (1/2ページ)

2008.10.12 14:44
「リクガメの憂鬱」「リクガメの憂鬱」

 ■カメの視線からの人間風刺

 この小説の主人公はギリシャリクガメ。生まれは地中海沿岸の温暖な遺跡地帯で、正しい種名が同定されたのは、じつは死んでずいぶんたってからのことだ。

 名前をティモシーという。飼い主はオスと思い込んでいたが、本人によればメスだそうである。船乗りの気まぐれで英国に連れてこられたのが1740年。半クラウン金貨1枚(5シリング相当)で、生き物の研究を趣味とする教区牧師の家に引き取られる。

 以来40年、故郷とは気候も環境も大きく異なるロンドン郊外のセルボーン村で、憂鬱(ゆううつ)極まりない人生(亀生)を過ごすはめになる。

 あとがきで訳者が「吾輩はカメである」という書き出しで始まってもおかしくないと書いているように、この小説は飼われるカメの視線からの人間風刺だ。

 飼い主の名前はギルバート・ホワイト。後年、博物誌の世界的古典と呼ばれる『セルボーンの博物誌』の著者で、日本の自然主義思想にも大きな影響を与えたナチュラリストである。

 ホワイトは、牧師業務の合間にティモシーの行動を好奇心おもむくままに観察。つねに「意味」という答えを見出(みいだ)そうとするが、ティモシー本人にすれば、どの見解も見当はずれである。

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「リクガメの憂鬱」
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