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【ライトノベル】書評家 三村美衣
このニュースのトピックス:10代
10代向けのエンターテインメントとして始まったライトノベルだが、現在は、20代、30代になってもそのまま卒業することなく読み続ける読者が増えている。そこを狙ってというわけでもなかろうが、最近は10代向けとは到底言い難いような、イレギュラーな作品も目につくようになった。
電撃小説大賞の最終選考作である柏葉空十郎著『桜田家のヒミツ〜お父さんは下っぱ戦闘員〜』(電撃文庫)もそんな一冊だ。というのもこの作品、なんと桜田家のお父さん、厄年を迎えた中年男性が主人公なのだ。もちろんライトノベルなので設定が尋常ではない。このお父さん、もともとは腕の良い大工だったが、頑固な性格が禍して職を失い、現在は悪の秘密結社の戦闘員として働いている。戦闘員とは言ってもお仕事感覚で、悪に手を染めているという意識は微塵(みじん)もなかった。ところが、ある日、組織が誘拐した富豪令嬢を自宅で預かることになり、思いがけない苦境に追い込まれ……。ノスタルジックな下町情緒と悪の秘密結社が同居する、お伽噺(とぎばなし)のような世界を舞台に、誘拐犯と誘拐された側、2組の家族の再生がユーモラスに描かれている。
一方、大迫純一著『ゾアハンター』(GA文庫)=4巻を刊行中=は、遺伝子改造によって生み出された怪人と、サイボーグとなった男の戦いをシリアスに描いた本格ヒーロー・アクション小説。短いセンテンスでたたみかけるバトル描写も迫力満点。悪や正義や、ヒーローの存在意義といった根源的な問題も描かれており、「仮面ライダー」で育った全世代にお勧めのシリーズだ。
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