ニュース: 文化 RSS feed
【芥川賞講評】「作者の国籍、勘案材料ではない」高樹のぶ子選考委員 (1/4ページ)
楊逸氏(44)の「時が滲む朝」に決まった第139回芥川賞の選考経緯について15日、高樹のぶ子選考委員が説明した。
まず岡崎祥久氏の「ctの深い川の町」、小野正嗣氏の「マイクロバス」、木村紅美氏の「月食の日」、津村記久子氏の「婚礼、葬礼、その他」の4つが落ち、羽田圭介氏の「走ル」も比較的早いうちに落ちた末、磯?ア憲一郎氏の「眼と太陽」と、楊氏の「時が滲む朝」が残った。
最初の投票で「時が滲む朝」が高得点を取っており、これを受賞作にするかどうかで厳しい議論をした。
「眼と太陽」は、不条理の世界が意図的にきちんと書かれており、文章もいいという委員もいたが、最終的には「時が滲む朝」に意見が集まった。これを絶対に受賞作にすべきだという意見と、前回で落選した候補作「ワンちゃん」より文章はよくなっているが、受賞はどうかという意見に分かれた。ぜひ受賞作にという意見が2人の委員からあり、最終決選投票をした。石原慎太郎選考委員は欠席で、8人中5人が○をつける形で受賞が決まった。
受賞作の評価は、日本語が前作よりよくなっていることに関してはだいたい一致したが、前作にシンパシーを感じるのに比べて、今回はそれが弱いという意見もでた。また、内容はだれもが知っていることで魅力が足りないという声もあった。内容に物足りなさを感じるという委員もいた。
一方、読み物としてリーダブル(よく読めて)でおもしろいと強く支持する意見があった。まず、作者は書きたいことがきちんとある。次に、国境を越えてこなければ見えないものがある。それが書かれている。全共闘世代が40年前に経験した熱気をこの作品に実感できるという意見があり、私(高樹)もそれに賛成だ。