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【芥川賞の楊逸氏】中国人にとって天安門事件とは何だったのか (1/2ページ)

2008.7.15 21:38
中国人初の芥川賞に決まり、笑顔で喜びを語る楊逸さん=15日夜、東京都中央区中国人初の芥川賞に決まり、笑顔で喜びを語る楊逸さん=15日夜、東京都中央区

 「日本語で小説を書くのは不自由ですが、泳げないのに泳いでみるという楽しさがある」

 日本語以外の言葉を母語とする作家が芥川賞を受賞するのは初めてのこと。前回候補となった「ワンちゃん」は、日本語としてこなれていない表現もあったが、受賞作の「時が滲む朝」はこれを軽々とクリア、言語感覚の非凡さをうかがわせた。

 「書くときは日本語で考えますが、行き詰まると中国語に切り替えて考え、それを日本語に訳すという作業をします」

 受賞作は、あこがれの大学に入学したものの、民主化運動に熱中したあげく放校処分となってしまった2人の青年の彷徨(ほうこう)を突き放したタッチで描く。モチーフはもちろん1989年6月4日に起こった天安門事件だ。

 「民主化運動が過熱している様子を日本のテレビで知り、89年5月中旬に中国に戻りました。デモには参加しませんでしたが、天安門広場に行ってみました。戦車が入ったときには汽車に乗っていたので、事件そのものは目撃していません」

 中国人にとって天安門事件とは何だったのか−。「書く仕事をする者として、書き残しておきたかった」というが、作品に政治的な意図をこめることは一切していない。現実に翻弄(ほんろう)され、理想と夢を無残にくじかれた人間が、その後の人生をどのように生きてゆくか−。ほろ苦い余韻を残すこの作品の主題はここにあるといっていいだろう。

 「理想は現実の中でくじかれるものです。私も転びながら生きてきました。そしてこう思うのです。人生のさまざまな体験は《時》が経過することによって、その真の意味が見えてくることがあります。タイトルに《時》という言葉を入れた理由はそこにあります」(桑原聡)

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中国人初の芥川賞に決まり、笑顔で喜びを語る楊逸さん=15日夜、東京都中央区
中国人作家として初の芥川賞受賞が決まり、笑顔を見せる楊逸さん=15日夜、東京・丸の内
第39回芥川賞を受賞した楊逸さん=15日午後、東京・千代宇田区の東京會舘(撮影・大西史郎)
中国人作家として初の芥川賞を受賞し、笑顔で記者会見する楊逸さん=15日夜、東京・丸の内の東京会館
第39回芥川賞を受賞した楊逸さん(左)と直木賞を受賞した井上荒野さん=15日午後、東京・千代宇田区の東京會舘(大西史朗撮影)
第139回芥川賞・直木賞。笑顔で撮影に応じる芥川賞を受賞した楊逸さん(左)と直木賞を受賞した井上荒野さん=15日午後、東京・千代田区の東京会館(大西史朗撮影)
第39回芥川賞を受賞した楊逸さん(左)=15日午後、東京・千代宇田区の東京會舘(大西史朗撮影)
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