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【週末読む、観る(1)】『やさしいため息』の青山七恵さんに聞く (1/4ページ)
■【著者に聞きたい】青山七恵さん『やさしいため息』(河出書房新社・1260円)
デビュー作は大学中退の女の子、芥川賞受賞作ではフリーターから正社員へと新たな一歩を踏み出す女性を描いた。受賞後初の単行本となる本作は社会人5年目のOLが主人公。物語はそれぞれ異なるが、まるで一人の女性の成長を追ったようだ。「よく延長線上にあるんですかと聞かれますが、意識はしてないんです。ただ自分により近い環境のほうがいいのかなと。今しか書けないものだから」
作品は、「まどか」が4年間音信不通だった弟と出会うシーンから始まる。弟は姉の部屋に転がり込み、姉の観察日記を付け始める。それを読んだ姉は自分の日常がいかに「平べったい」かを知る。
芥川賞受賞作は、選考委員に都会の孤独が描けていると絶賛されたが、本作も都会の中で一人で生きる女性の心情が温かい筆致でつづられている。「受賞後に取材が増えてインタビュー原稿を読むとき、自分の言葉が載っているのに、こんなことを言ってるんだと。誰かが書いたものに対する違和感と興味が出てきたんです」。これが日記のアイデアにつながったという。
表題作に加え、短編「松かさ拾い」も収録されている。これも若い女性が主人公。勤務先の個人事務所の「先生」と、彼の2歳の娘との交流が描かれる。温かな心持ちにさせられる小説だ。「友人に子供が生まれるので、赤ちゃんのお祝いのために書いたんです」。友人の奥さんは、その後無事出産したという。
「信号機の緑色が、水の中にあるようにゆらりと揺れた」など、全編に水のイメージが漂う。「たしかにアクア(水)な感じですね。無重力空間に浮いている水の中に入っているような」。映画館の暗闇が印象的に描かれるなど、読むごとに、母親の胎内にいるような温(ぬく)もりと安心感が伝わってくる。作家は無意識のうちに、「羊水」のイメージを重ねて書いていたのかもしれない。(堀晃和)
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あおやま・ななえ 昭和58年、埼玉県生まれ。平成17年、「窓の灯(あかり)」でデビュー。「ひとり日和(びより)」で芥川賞。
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