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【週末読む、観る(4)】本谷有希子『グ、ア、ム』 (3/4ページ)
■【児童書書評(1)】『サルが木から落ちる』S.E.クインラン著、藤田千枝訳(さ・え・ら書房・1575円)
○評・大朏博善(科学ジャーナリスト)
「サルも木から落ちる」という諺(ことわざ)は、優れた技能の持ち主には考えられないミスが起きたときに使われる。ところが、この『サルが木から落ちる』の著者によると、熱帯林ではサルが木から落ちる現象が観察される。中央アメリカの熱帯林にすむホエザルの場合、木から木への飛び移りの失敗ではなく、木の葉などの食事中に突然、枝から落ちてしまうのだという。
木登りの名手がなぜ木から落ちてしまうのか。調べてみると、どうやら食料にした木の葉の毒にやられるらしい。それにしても熱帯林のような食料豊富なはずの場所で、わざわざ毒のある木の葉を食べる理由は何か。新たな疑問に向かった研究者が、1年かけて調べた意外な事実とは……。
こうした話から始まって本書では“熱帯林の意外な事実”が次から次へと展開される。
いつも大群で行動するグンタイアリは、彼らの通り道にいる昆虫を容赦なく襲う恐怖の軍隊だ。ところが、このグンタイアリの行進に積極的についていくように見える、トンボマダラというチョウがいる。なぜ危険を承知で追跡するのか? また別の場所には、植物なのに周囲の植物群に合わせて自分の姿を変えるツル植物が存在する。いったい誰の目から逃れようとしているのだろうか?
こんな具合に、「熱帯林のミステリー」とも呼べる知られざる事実が、専門家による調査報告をもとにていねいに語られていく。
それだけでも十分楽しめるのだが、じつは本書の目的は別のところにある。最近よく聞く「生物の多様性」「豊かな生態系」といった言葉の本当の意味を、熱帯林の中で繰り広げられる生命同士の触れ合いを語ることで私たちに問いかけてくる。重いテーマをやさしく訴えているのだ。
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Susan E.Quinlan 野生動物学者。米アラスカに、夫と2人の娘と暮らす。