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【週末読む、観る(3)】話題の本『岩佐又兵衛』 (4/4ページ)
■【書評(2)】『人魚を食べた女』山崎洋子著(講談社・1860円)
◯評・生田沙代(作家)
25歳のまま、300年生き続ける女がいる、と聞いて、あなたはなにを思うだろうか。恐怖? 悲哀? それとも絶望? おそらく、そのどれも正しい。首を吊(つ)っても、崖(がけ)から飛び降りても、女は決して死ぬことができない。かつて口にした人魚の肉が、彼女に300年という気の遠くなるような寿命をもたらした。女は名前を変え、顔を変え、時代から時代をしたたかに渡り歩く。本書は、そんな女に人生を絡めとられた男の物語である。
とある事情から、逃げるように日本を出てきた〈私〉は、ポルトガルで一人の日本人の娼婦と出会う。すでに125年も生きているというその女は、体ではなく『話』を買わないかともちかけてくる。それは125年の間に繰り返してきた恋の話。ちょっとした興味を覚えて誘いにのった〈私〉は、その瞬間から数奇な運命の渦にのみ込まれていく。
時折、タイトルやあらすじを読んだだけで、これは絶対に面白いに違いないと思わせてくれる本があるが、この小説はまさにそれで、大きな期待を胸にページをめくってみると、想像通りプロローグから一気に物語の中心に放り込まれた。
女がかつてあの樋口一葉だったという大胆な設定や、しだいに明らかになっていく主人公の出生の秘密など、わくわくさせてくれる要素はそこかしこに散らばっているのだが、なんといっても、それらをつなぐ女の不穏な魅力がこの小説を支えている。高慢かと思えばけなげで、母性的な優しさを見せたと思えば、魔女のような一面を隠しもつ。その時代その時代で、女は出会った人々を、ゆっくりと、しかし確実に悲劇へと導いていく。その行動からにじみ出る、狂気に侵された絶対的な孤独。ねっとりと練り上げられた女の情念の世界がそこには広がっている。
恐ろしくも美しい現代の八尾比丘尼。濃密な気配を漂わせる、魅力的な悪女を堪能した一冊だった。
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やまざき・ようこ 昭和22年、京都府生まれ。『花園の迷宮』で江戸川乱歩賞。著書に『ヴィーナス・ゴールド』など。
〈メモ〉 すずき・ともこ 昭和52年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。書籍編集者を経て、漫画家・エッセイストに。著書に『強気な小心者ちゃん』シリーズのほか、最新刊に4コマ漫画『ふつうの会社とパンチパーマ』。
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著者の松本理恵さんは昭和46年、東京都生まれ。登山の総合誌「山と溪谷」編集部員。本書は、自らが全国の山小屋を訪ね歩き、平成16〜18年に雑誌「ヤマケイJOY」に連載したものをまとめた。