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【書評】『教科書 日本の防衛政策』田村重信、佐藤正久編著
■「政治用語」を丁寧に説明
日本の安全保障政策を理解するには、かなり高度な読解力が必須である。「専守防衛」「非戦闘地域」など、軍事用語の“仮面”をかぶった政治用語の跋扈(ばっこ)が主たる原因だ。「国際法上有していることは当然」としながら「(その)行使は憲法上許されない」とされる「集団的自衛権」に至っては、もう何が何だかわからない。だが、自衛隊を合法組織として存在せしめ、関係法案を通し、国土防衛や海外派遣などを可能ならしめんと生まれてきた数多(あまた)の造語(政治用語)が、国益を守ってきたことも、紛れもない事実である。
著者は、自民党の安全保障政策にかかわってきた田村氏と、初代隊長として中東のゴラン高原やイラクで活動した元自衛官「ヒゲの佐藤」氏。政策立案者と、政策を受けて第一線で任務に就いた実務経験者の“初共演”では、造語がなぜ必要だったのかを、法案の成立過程を織り込みながら丁寧に説明している。
「教科書」という副題が自信ありげに付けられている通り、解説はできる限り中立を心掛けている。一方で「平和というものはただ平和、平和と口で言うだけでは達成されないので、平和を破るような行為を阻止する手段を講じることが必要なのです」といった小泉信三・元慶応義塾塾長の言葉を紹介。「(日本が締結している)国連憲章、サンフランシスコ平和条約、日米安保条約では集団的自衛権の保有につき認めていながら、憲法の建前からは行使できないというのはおかしい」といった論争の一端も、反対の論理とともに提供している。
このほか▽北東アジア情勢▽防衛力整備の軌跡▽予算の仕組み▽情報・保全の内外事情▽サイバー攻撃を含むテロ▽大量破壊兵器拡散▽米国の安全保障政策と日米同盟−など、直面する重要課題につき、幅広く解説している。
お粗末な憲法を有り難がって押しいただく無意味を、改めて感じさせてくれる一冊でもある。(芙蓉書房出版・2625円)
政治部 野口裕之
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【プロフィル】田村重信
たむら・しげのぶ 自民党政務調査会首席専門員。
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【プロフィル】佐藤正久
さとう・まさひさ 自衛隊を経て参議院議員。