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【論壇時評】7月号 論説委員・小林毅 袋小路を抜け出せるか (1/2ページ)

2008.6.22 09:36
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 「後期高齢者医療制度」批判がとまらない。与党は衆院補選、沖縄県議選での相次ぐ敗北を受けて見直し案をまとめ、野党は制度廃止法案を国会に提出した。しかし、議論は高齢者の負担をどうするかに集中し、少子高齢社会での医療の姿といった問題は置き去りにされている。

 袋小路に入った感さえある後期高齢者医療制度だが、諏訪中央病院名誉院長・鎌田實の「老人を嘲笑(あざわら)った福田総理へ」(文芸春秋)が、この問題に別の視座を加えている。

 鎌田は長野県茅野市などで地域住民に食事指導から要介護老人のデイ・ケア、ホスピスまで一貫したシステムづくりに取り組んでいる。その結果、今では同市の1人当たり年間医療費は全国平均より約7万円、老人医療費は20万円以上安い。

 その鎌田が、批判の多い今回の制度の中で見つけた「おもしろい仕掛け」というのが、かかりつけ主治医を1人選び、月600円の自己負担で何度でも検査や処置を受けられる高齢者担当医制度だ。

 鎌田は保険証だけで、どの医療機関でも受診できる「フリー・アクセス制」と「出来高払い制」が大病院の過重労働を招き、検査・投薬の重複でむだな医療出費を誘発した面がある、と指摘する。

 担当医制度は実際の治療費に関係なく、請求額は一定なので粗診粗療がはびこるとの指摘もあるが、機能すれば、茅野市が推進した継続医療システムにつながるだけでなく、現行制度の問題点を改善し、長期的な医療費抑制も期待できるという。

 後期高齢者医療制度で猛反発を受け、政府が廃止検討に入ったものに「終末期相談支援料」もある。回復困難な患者に生存期間などを説明した上で、延命治療の有無を確認したら医師に報酬を払う仕組みだ。

 医師で作家の久坂部羊は、廃止検討を「コストのかさむ終末期医療の抑制であると見抜かれ」「重要な診療行為を評価する機会をつぶした」(「現代医療神話に取り憑(つ)かれるな」中央公論)と嘆くが、鎌田は「かかりつけ医が二〜三年をかけて、その方の人生観などを聞きながら(略)、最期までかかりつけ医として支えてあげればいい」とし、担当医制度で対応できるという。

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