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【週末読む、観る】(2)大槻義彦教授が熱く説く『子供は理系にせよ!』 (4/5ページ)
そのためだろう。これまでにも、多くの著述家がこのテーマにいどんできた。宮岡謙二、安岡章太郎、倉田喜弘らが、軽業師の動向をさぐってきたのである。そして、今また、著者が新たな挑戦をこころみ、その成果を世に問うた。
だが、軽業師のうごきをおいかけるのは、たいへんむずかしい。とにかく、断片的にしか記録や資料は、のこっていないのである。そのわずかな痕跡を、つきあわせつつ、著者は軽業師たちのあしあとをつきとめようとする。ひねりだされる推論には、いちいち感心した。ふだんから、彼らのことを考えぬいているんだろうなと、脱帽する。
研究水準の高さはうけあえるが、文章もまたあじわいぶかい。もちろん日本語で書いているのだが、どことなく19世紀の英語風でもある。当時の英語記録と、とことんつきあったおかげで、そうなったのだろうか。英語のできる人には、その点でも読書のたのしみがふえるだろう。
欧米でよろこばれた軽業だが、しかし囃子の音楽はいやがられたらしい。ドレミからはずれた日本の音が、雑音のようにひびいたのだという。そのため、日本の軽業は耳栓をして見にいけとも、評された。
だが、なかにはそんな邦楽になじんでいった西洋人もいる。たとえば、クララ・ルイーズ・ケロッグ。ソプラノの歌手だが、邦楽のなかに旋律の妙味を聴きとった。そんな彼女と梅吉(リトル・オーライ)の出会いには、感動させられる。
(井上章一 国際日本文化研究センター教授)
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みはら・あや 大阪大谷大文学部教授。東京生まれ。大阪大大学院修了。
■『臓器漂流』木村良一著(ポプラ社・1785円)
衝撃的なタイトルだ。これは、臓器移植を希望する患者が、どこに出現するかわからないドナー(臓器の提供者)を求めてさまようことを意味している。本書はその「現場」のリポート。移植手術そのものは、中国でもフィリピンでも米国でも、そしてもちろん日本でも受けられる。しかしどの国でもドナーの数は絶望的に足りない。
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