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【週末読む、観る】(3)ナショナリズム徹底利用の『中国 危うい超大国』 (1/4ページ)

2008.5.25 07:55
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■『中国 危うい超大国』スーザン・L・シャーク著、徳川家広訳(NHK出版・2625円)

 スーザン・シャーク氏はカリフォルニア大学の教授である。前にアメリカ国務省で中国問題を担当した。

 うん、そうかと思いだされる読者もいよう。4月26日付の本紙の国際ページに、「シャーク元国務次官補代理に聞く」というインタビューが載った。そのなかで、彼女の著作『中国 危うい超大国』が取り上げられた。

 その『危うい超大国』を手にして、私の脳裏に最初に浮かんだのは、ズビグネフ・ブレジンスキー氏の著作『ひよわな花・日本』だった。「ひよわな」と言ったのはなぜかを記しておこう。ブレジンスキー氏はつぎのように述べた。「主体的、客観的な自足体制を欠くために、日本の経済的成果も、さらには将来に予想される軍事力でさえも、ひよわな花に過ぎないのである」

 首相が佐藤栄作氏から田中角栄氏に代わった年に『ひよわな花』は世にでた。それから36年のち、北京オリンピックを控え、中国の異様なナショナリズムにだれもが暗澹(あんたん)たる気持ちでいるときに、『危うい超大国』が刊行された。

 ところで、私が『危うい超大国』から『ひよわな花』を思いだしたのはなぜなのかを語ろう。原題は一方が『フラジャイル ブロッサム』、もうひとつが『フラジャイル スーパーパワー』である。訳者の徳川家広氏が「ひよわな」と訳した名著があるのを承知の上で、「危うい」とした理由は想像がつく。

 独裁を持続させるためにナショナリズムを徹底的に利用せざるをえなかった中国指導者であったが、かれらはそのナショナリズムの激情の虎の背から下りることができなくなり、虎の鼻づらを抑えることができなくなっていると著者は説き、その「危うい」状況を論述しているからだ。

 シャーク氏は昨日と今日の中国を綿密に考究し、対応すべき方策を説いた。まことに時宜を得た出版である。そして徳川氏は古典のひとつに加えられるであろう本を訳された。(評論家 鳥居民)

     ◇

Susan L.Shirk 米国を代表する中国政治研究者。

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