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【週末読む、観る】(1)読むと食べたくなる『日本のおかず』 (1/3ページ)
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■【話題の本】西健一郎著『日本のおかず』(幻冬舎・1680円)
カラフルな料理本が並ぶなか、地味な表紙が逆に印象的で、思わず手に取る。著者は京都の名店「たん熊」で修業し独立、東京・新橋に割烹(かっぽう)料理店「京味」を構える。敷居の高い高級料亭の味が自宅で気軽に楽しめるのかと思いきや、レシピには「新じゃがと牛肉の煮物」「だし巻き卵」「筍ご飯」といった昔ながらの家庭料理がズラリ。だが、恥ずかしながらどれも満足に作れる自信がない。
「『料理は本来シンプルなもの。日本古来の大切な家庭の味が消えつつあるなか、基本に戻り昔ながらの食卓の味を伝えたい』との西氏の強い思いが、多くの共感を得たのでしょう」
こう話すのは、幻冬舎の編集担当者、菊地朱雅子(すがこ)さん。3月下旬の発売以来、1カ月半余で6刷13万部と料理本では異例の売れ行き。
「家庭料理の教科書として、常備されているようです」
著者は調味料の分量など納得いくまで追求し、撮影に2年も費やしたという。冒頭、出汁(だし)の取り方から始まるところにこだわりが感じられる。例えば新じゃがと牛肉の煮物では、肉のうまみを出汁として引き出すのがポイントであり、腕の見せどころ。「味を迎えに行く(中略)それは、素材の一番美味(おい)しい時期を知って、料理を作るということ(中略)必要以上の調味料はいらない」と言い切る。簡潔でありながら的を射た説明だ。
読んでいるうちに、食べたくなってくる。難しく考えず、まずは作ってみよう。牛肉ゴボウは、泥のついたゴボウを洗ってささがきにし、甘辛くいためると春の息吹が食卓いっぱいに広がる。食育などと難しく考えず、四季の恵みをいただく家庭の味を、守り続ける大切さを教えてくれる。(中島幸恵)