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【週末読む、観る(2)】『うつ病の真実』の著者に聞きたい、ほか (1/4ページ)
■著者に聞きたい
野村総一郎著『うつ病の真実』(日本評論社・1785円)
心の病、鬱(うつ)病への関心が社会全体で高まっている。勉強や仕事に何となく身が入らないユウウツな精神状態から、職場でのいじめ(パワーハラスメント)を苦に自殺に追い込まれる深刻な事態までケースは多岐にわたる。
「一般にはおろか、専門医ですら鬱病の概念があいまいなため、『あれもこれも鬱病』といった誤解や思い込みで、安易な診断がなされることも多い。患者の3割以上が慢性化して治りにくいのが現状です」と著者は警告する。
本書では、鬱病を体系的にとらえ直し、正確な診断、治療に役立てる指針を与えてくれる。例えば、鬱病が初めて学問的にとらえられたのは、紀元前5世紀ごろの古代ギリシャだといわれている。哲学者、アリストテレスが“鬱病の研究の開祖”とも呼ばれているほど、その歴史は古い。近年のストレス社会のひずみの産物ではないのだ。
「歴史的、医学的観点からみると、鬱病は投薬による治療だけでは不十分であると分かるはず。漠然としたさまざまなケースをはっきりさせたうえで、初めて診断がなされ、それにあった治療法が確立するのです」
著者は4年前、日本うつ病学会を設立、現在は理事長を務めている。ほかの精神疾患に比べ医師だけが携わってきた従来の法を改め、医師のほかケースワーカー、保健師、臨床心理士らによる横のつながりを強化。脳科学、福祉、カウンセリングといった情報交換を活発に行い、治療につなげたいとしている。
中でも大切なのは、精神科医の教育だと力をこめる。
「医師と患者、関係者らが一体となって、社会復帰に向けたトレーニングに勤(いそ)しむのは日本独自のケア。ノウハウはまだ手探り中ですが、回を重ねるごとに参加希望者が増える。再び会社や地域に羽ばたく患者さんの笑顔を見るのが、精神科医としての醍醐味(だいごみ)ですね」
(中島幸恵)
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のむら・そういちろう 防衛医科大教授、同大病院副医院長。昭和24年、広島県生まれ。慶応大医学部卒。

