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【週末読む、観る(1)】花田紀凱の週刊誌ウオッチング「こういうデタラメを民主党は黙認するのか!」ほか (2/4ページ)
■出版社のオススメ(1)
『江戸の捨て子たち』沢山美果子著(吉川弘文館・1785円)
昨年5月に、親が育てられない赤ちゃんを匿名で引き受ける通称「赤ちゃんポスト」が熊本市の慈恵病院で設置され、大きな話題となった。無責任な親が増えているというのに、育児放棄をさらに助長するのではないかという反対派と、とにかく赤ちゃんの生命を守るのが先決という肯定派との間で、連日メディアで激論が交わされた。しかし、改めて考えてみるとその“非難の根源”は一体何だったのだろう。
著者によるとそれは「子供の生命を守る責任は何よりも実の母にあるという現代社会に根強くある倫理観」が大きく影響しているのではないかという。
それでは数百年前の江戸時代に目を転じてみるとどうだろうか。
飢饉(ききん)など今よりさらに厳しい貧困に悩まされていた江戸時代では、裕福な庄屋の軒下などに、子供を置き去りにする捨て子は、実は許容されていたのである。「家」の存続のためには、血縁でない子供を養子として、あるいは労働力として求める子供観が存在していたのだ。
しかし、そういった地域社会による相互扶助的な捨て子救済システムも、幕末にはやがて破綻(はたん)をきたしてくる。そういった背景のなかで、津山藩では「赤ちゃんポスト構想」が出され、堕胎や間引きから子どもを守ろうという動きが出てきたのである。資金面から実現にはいたらなかったようであるが、これは地域社会の崩壊が叫ばれて久しい現代にもつながる問題をはらんでいる。本書は、捨て子問題を新しい角度から考える一冊といえよう。
(吉川弘文館編集部 永田伸)
■出版社のオススメ(2)
『デフレは終わらない』上野泰也著(東洋経済新報社・1680円)
「金利は上がりません」。昨秋、本書の打ち合わせの席で著者は言いました。ゼロ金利政策解除から1年、「長期固定へ借り換えを」という住宅ローン特集が大々的に組まれ、世間の関心も「上がるか下がるか」ではなく「いつ、どれだけ上がるか」に収斂(しゅうれん)されていたころの話。
拙宅のローンを変動金利で借りていた私は、エコノミストランキングで6年連続首位となった著者の言葉を担当編集者が信じなくてどうすると、借り換えを主張する妻を説き伏せました。それから半年。著者の予測は見事に的中しました。おかげさまで本書も発売後すぐに増刷となりました。
本書のテーマは「騙(だま)されない」です。政府発表やマスコミ報道など、私たちが盲目的に信じがちな経済の通説に鋭くメスを入れ、日本経済の実態を暴きます。経済に関する情報はスポーツや芸能のそれとは違い、日々の生活に直接影響を及ぼします。それだけに見聞きした情報を自分でよく検討し、情勢を的確に把握しておかないと、実生活でも損をすることになります。
昨今、原油高や資源高を背景に物価が高騰しており、これを背景にインフレの到来が喧伝(けんでん)されています。しかし著者は、市場の価格形成メカニズムや少子化社会の到来から考え「鋼板価格が上昇しても自動車が値上がりしないのはなぜか?」とインフレ到来説を切り捨てています。そのほかにも地価、為替、雇用などについて、丹念な検証を経て次々と真実を浮き彫りにしていきます。
(東洋経済新報社 斎藤宏軌)