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【書評倶楽部】文教ジャーナリスト・永井多恵子 (1/2ページ)
■「おいで、ベイビー」『中国現代戯曲集第七集−児童青少年演劇特集』から 陳永涓ほか作、中山文訳
■日本の「今」のような世相
シングル家庭、勉強に追い立てられる子ども、独居老人問題、「え、これが中国の児童劇?」とまずは驚く。まるで日本の「今」を描いているかのよう…。
ベイビーとは犬の名前、一人暮らしのおばあさんが飼っている。外国に住む娘と同居することになり、丁放という子供に預けられる。鍵っ子で一人テレビを見ながらご飯を食べる「孤独」な子供たちにも犬は慰めなのだ。
劇中で子供たちはこんな歌を唄う。「自由な場所をちょうだい。自由な時を僕らにちょうだい。すべてのストレス投げ捨てて、…僕らの日曜日を返してちょうだい、こども時代の楽しい時を、どうぞ、ぼくらに返してちょうだい…」
中国のお芝居によく出てきた優等生タイプが影をひそめ、個性ある子供たちが登場する。
古びた空き家の庭が子供たちと犬の遊び場、そこで、丁放はこの家に一人住む盲目の老人と出会う。空き家ではなかったのだ。おじいさんの娘もまた、遠く離れ、仕事に忙しい。丁放は老人のためにベイビーに盲導犬の訓練を始める。数カ月たって犬はおじいさんの道案内ができるまでになった。
ところが、そこへ元の飼い主のおばあさんが帰ってくる。住み慣れた土地が恋しい、そして愛するベイビーと暮らしたい。1匹の犬をめぐる2人の老人の争い、さて、子供たちはどう解決するのか…。
解説によるとこの作品は、盲導犬を訓練した小学生の実話から創作されたという。作者は山東省話劇院の女優だったが、作劇の才能に注目した文化庁が上海戯劇学院の作家養成コースに給料付きで送りこんだ。優秀話劇芸術工作者にも選ばれている。舞台芸術の人材養成についても中国は一歩、先んじているようだ。(晩成書房・2625円)


